
生活習慣を変えたいのに変えられないと悩むひとは多く、理由はさまざまです。何度も同じところでつまずくと「わたしは意志が弱いのか」と感じてしまいますよね。まじめできちんと向き合おうとするひとほど、自分を責めがちです。
生活習慣が改善できない背景には、性格や意志とは別の理由が隠れている場合があります。心と身体の状態がかみ合っていないだけ、という見方もできるのです。
心身の調和を取り戻すのが、よりよい生活習慣を身につける近道になるかもしれません。
習慣が続かないのは意志の問題ではない

行動だけを切り取ると「続けられなかった」という結果が目に入ります。その前段階にある心身の状態を東洋医学的に考えてみましょう。
生活リズムの乱れが気の流れを滞らせる
生活リズムの揺れは、身体の中を巡る「気(き)」に影響します。寝る時間が日によって1〜2時間ずれたり、朝食を抜く日が週に何度もあったりしないでしょうか。
気は、動き出す力や前向きさの土台です。巡りが滞ると、行動しようと思っても身体が動かない感覚になりやすいのです。
完璧を求めすぎるほど気を消耗しやすい
まじめなひとほど完璧を目指そうとします。
- 毎日欠かさず続ける前提で習慣を決める
- 一度休んだだけで、すべてが崩れたように感じる
- できなかった自分を責めてしまう
気は使いすぎると減ってしまうもの。完璧を求める姿勢が負担になり、心身の健康に影響する場合もあるのです。
頑張りすぎタイプに多い肝への負担
肝(かん)は気の流れや感情の調整と深く関わります。我慢や緊張が続くと肝の働きが乱れやすくなるのです。イライラしやすい・ため息が増えるなどの症状は、肝の働きが鈍っているサインかもしれません。
心の緊張が抜けにくい状態では、新しい習慣を受け入れる余裕も生まれにくくなります。
続かない原因は3つのバランスの乱れ

東洋医学では、身体の調子を「気・血・水(き・けつ・すい)」のバランスで捉えます。生活習慣が続かない背景には、3つの乱れが関係していることがあります。
気の不足|やる気が湧かない・疲れが抜けない
朝からだるさが残っていたり、休んでもなかなか回復しなかったり。こうした状態は気虚(ききょ)と呼ばれており、エネルギー不足です。気が不足すると、行動を起こす前にエネルギーが尽きたように感じてしまうのです。
血の不足|眠りが浅く気持ちが落ち着かない
血は、心を安定させる役割を担います。寝つきに30分以上かかったり、夜中に目が覚めやすかったりするのは、血が不足しているのかもしれません。
とくに肝血虚(かんけっきょ)は、東洋医学で血が不足しやすい状態を指します。気持ちの揺れが大きくなりやすく、心が落ち着きにくい傾向がみられます。
水の滞り|むくみ・重だるさ・冷え
体内の水分代謝が滞ると、身体に重さが残ります。夕方になると足がむくみやすい、雨の日に調子を崩しやすいなどのひとは水滞(すいたい)の可能性があります。身体が重く感じられるときに新しい習慣を取り入れようとするのは難しいですね。
続けられる心と身体の土台づくり

生活習慣を整えようとするとき「何をするか」に意識が向くでしょう。東洋医学ではまず、現状を見極めることを大切にします。無理を重ねず、続けられる土台をつくる視点です。
小さな行動を重ねて「できた感覚」を育てる
小さな目標を設定し、達成していきましょう。
- 毎日5分だけストレッチする
- 朝食時に野菜を1品だけ追加する
- 就寝時間を10分だけ早める
小さな成功体験の積み重ねが「できた」という感覚を育てます。大きな目標を達成しようとすると挫折しがちですが、小さな行動なら心の負担が少なく、日常生活に取り入れやすいのです。
より大きな目標に挑戦する意欲も湧いてくるでしょう。気を養ううえでも欠かせない要素です。
身体からのサインに目を向ける
小さな不調は身体からのメッセージです。だるさ・冷え・眠りの質など、ひとつひとつは軽く思えても、やがて大きな病気に発展する可能性もあります。慢性的な疲労感や集中力の低下などは未病のサイン。身体の声に耳を傾けましょう。
不調は頑張りが足りない証拠ではなく、自分を過剰に犠牲にしていることへの警告なのです。
体質に合った養生と漢方薬の役割
養生は、日々の生活の中で身体を整えていく積み重ねです。睡眠・食事・運動・ストレス管理など、生活全般にわたる過ごしかたの見直しが基本になります。養生は特別なことではなく、日常の中で無理なく取り入れられる知恵なのです。
一方、生活を整えようとしてもうまくいかないとき、漢方薬を取り入れるという選択肢もあります。漢方薬局では、個々の体質や生活習慣に合わせて薬剤師が選薬します。状態の変化を確認しながら必要に応じて漢方薬を見直し、身体のバランスを考えていくんですね。生活習慣の見直しと併用するといいでしょう。
頑張れない日があっても、だいじょうぶ!

「生活習慣を改められない」と悩むひとほど、まじめに自分と向き合っています。続かない経験も貴重な経験のひとつ。失敗ではありません。むしろ、心と身体の状態を見直すきっかけにもなるんですね。
整える道は一直線でなくてもいいのです。いったん立ち止まったほうが方向を確かめられる、という利点もあります。頑張れない日があっても歩みが止まったわけではありません。次の日にまた、しれっと始めてみるくらいでちょうどいいですよ。
心と身体はつながっているので、健康のためには両方を整えるのがとても大切です。心身の声を一緒に確認してみませんか。当店では生活の背景や体質を伺いながら、無理のない整えかたを一緒に考えていきます。




