野菜ジュースは栄養素を効率よく摂取するのに大変便利ですね。積極的に取り入れている方もいらっしゃるでしょう。
しかし選び方によっては野菜ジュースも健康の落とし穴になってしまいます。パッケージの見栄えだけで選んでいませんか?
身体によい野菜ジュースの選び方や利用方法、注意点などをご紹介します。
野菜ジュースの種類と特徴

健康志向の高まりとともに、手軽に野菜を摂取できる方法として人気の野菜ジュース。コンビニやスーパーの棚にはたくさんの種類が並んでいますが、その中身は大きく異なります。選び方の参考にしてくださいね。
知っておきたい!濃縮還元ジュースの意外な真実
濃縮還元ジュースとは、野菜や果物を絞ったあとに水分を蒸発させて濃縮し、その後再び水分を加えて元の濃度に戻した飲料のことです。元の濃度に戻す工程を「還元」と呼ぶのです。
なぜこのような方法をとるのかというと、輸送コストの削減と保存期間の延長が主な理由です。濃縮すると体積が減りますから、輸送効率が上がります。長期間の保存が可能になれば、年間を通して安定した商品を提供できるんですね。
しかし、濃縮還元の工程でビタミンや食物繊維が減少するので、栄養価が低くなってしまいます。熱に弱いビタミンCは30%減少するというデータもありますし、ポリフェノールなどの機能性成分も損なわれがちです。風味を調整するための香料や、保存性を高めるための添加物を含んだ製品も多いです。
パッケージの表示を確認すると、香料・酸化防止剤・安定剤などの記載を見つけられるでしょう。
ストレートジュースと濃縮還元ジュースの違い

ストレートジュースは野菜や果物をそのまま搾ったもので、水や添加物で薄めていないジュースを指します。
栄養価の面ではストレートジュースの方が優れています。加熱処理することはありますが、基本的に添加物は加えません。ビタミンCや食物繊維などの栄養素が失われにくいのです。
味わいの点でも、ストレートジュースは果物本来の風味や香りが残りやすいんですね。濃縮還元ジュースは製造過程で失われた風味を補うために、添加物が使われることがあります。
市販の野菜ジュースに隠れている添加物と影響
市販の野菜ジュースには、さまざまな添加物が含まれていることがあります。ジュースに含まれる主な添加物は以下です。
- 塩分
野菜ジュースに多い。200mlあたり1g前後の塩分を含むものも - 砂糖・甘味料
飲みやすくするために加えられるが糖質の過剰摂取につながる恐れあり - 香料
風味を補い飲みやすくする - 保存料
保存期間を延ばすために使用される
果糖ブドウ糖液糖は添加物リストに掲載されていませんが、注意したい甘味料です。清涼飲料水などに広く使われているので見たことがあるかもしれませんね。過剰摂取に気をつけましょう。
野菜ジュースを飲む際の注意点

健康のために飲んでいる野菜ジュースが逆効果になっていることもあります。次の点に注意しましょう。
朝食代わりの野菜ジュース
朝食を野菜ジュース1本だけで済ませている方は要注意です。ある程度野菜の栄養は摂れますが、朝食に必要なエネルギーや他の栄養素が不足してしまいます。
朝食で必要なのは
- 炭水化物:脳や体を動かすためのエネルギー源
- たんぱく質:身体を作る材料となる
- 食物繊維:満腹感を持続させる
- ビタミン・ミネラル:代謝を促進する
野菜ジュースだけでは、すぐにエネルギー切れを起こしてしまいます。食事は栄養をとるだけではありません。よく噛むことで満足感が得られたり、消化酵素の分泌が促進されるんですね。
東洋医学では「脾(ひ)」と呼ばれる消化機能を重視します。液体だけの朝食は脾を弱めるとされ、長期的には消化機能の低下につながる可能性がありますよ。
糖分と塩分から見る市販野菜ジュースの落とし穴

市販の野菜ジュースには、多くの糖分や塩分が含まれているものがあります。特に気をつけたいのは「果物と野菜のミックスジュース」のような表示があるものです。これらは果物の甘さで飲みやすくするために、糖分含有量が非常に高くなっていることがあるんですよ。
注意すべき点
- 果物入りの野菜ジュースは糖分量が多い
- パッケージの「〇%果汁」の表示に惑わされない
- 原材料表示で果物が先に記載されている場合は、果物の方が多く含まれている
例えば、あるミックスジュースには、1本(200ml)あたり約18gの糖分が含まれています。これは角砂糖約4.5個分に相当します。「野菜」の文字が健康的なイメージを与えますが、果物由来の糖分は想像以上に多いのです。
また、200mlのジュースに1gの塩分が含まれている場合、1日の塩分摂取量の約13%(男性の場合)から15%(女性の場合)を摂取することになるんですね。一般的に、成人の1日あたりの食塩摂取量の目標は、男性で7.5g未満、女性で6.5g未満です。
野菜そのものを食べて得られる満足感と栄養素

野菜を絞ると、食物繊維が失われるのが最大の問題です。野菜の食物繊維には水溶性と不溶性があり、両方をバランスよく摂ることが腸内環境を整えるために重要です。
野菜をジュースにすると食物繊維が粉砕され、不溶性食物繊維の量が減少します。不溶性は水に溶けず、腸内で水分を吸収して膨らみ排便を促進するのです。大切な栄養素なのですが、野菜ジュースだけに頼っていると、不溶性食物繊維の量が圧倒的に足りないんですね。
例えば、生のニンジン100gには食物繊維が約2.8g含まれていますが、一般的なジューサー(遠心分離式)を使うと約0.3gほどに減少してしまうのです。約90%もの食物繊維が失われるんですね。これは絞りカスと液体を分けてしまうためです。
野菜を丸ごと食べることで得られるのは、満足感・咀嚼(そしゃく)による脳の活性化・唾液の分泌促進などがあります。ジュースでは得られない大切な要素があるんですね。
漢方では五臓六腑全体のバランスを重視しますが、食べ物を丸ごと摂ることもそのひとつなのです。食材の持つ栄養素を最大限に活かす知恵といえるでしょう。
身体にいい野菜ジュースの選び方と活用法

本当に身体にいい野菜ジュースとはどのようなものでしょうか。選び方と上手な活用法をご紹介します。
自分で絞る新鮮野菜ジュースのメリットと手間を減らすコツ
栄養価や鮮度を考えると、自分で野菜を絞るのが最も理想的です。市販品と比べて、次のようなメリットがありますよ。
- 新鮮な野菜の酵素や栄養素をそのまま摂取できる
- 添加物や保存料が一切含まれない
- 自分の好みや体調に合わせて野菜を選べる
- 季節の野菜を取り入れやすい
野菜の下ごしらえをしておき、ミキサーにかけるだけの状態にしておくと、いつでも作りたての野菜ジュースが楽しめます。
- 休日にまとめて野菜を洗っておき、切って冷凍保存する
- 朝は冷凍野菜を出してミキサーにかけるだけにする
- シンプルな組み合わせ(野菜1種+果物少々など)にして手順を簡略化する
ジューサーよりもミキサーの方が繊維質も一緒に摂れるのでおすすめです。少し粘度がありますが、水を加えて調整するとよいでしょう。果物の摂りすぎには注意してくださいね。
忙しい毎日でも続けられる!健康的な野菜摂取の工夫

野菜ジュースは、あくまで野菜を食べることの補助と考えるのがベストです。次のような工夫で、忙しい日々でも野菜摂取を無理なく続けましょう。
- 週に2~3回だけ自家製ジュースを作る日を決める
- 残りの日は、朝食に温野菜やサラダを添える
- 夕食に「おひたし」や「蒸し野菜」など、シンプルな調理法の野菜料理を加える
- 原材料表示を確認するポイント
- 「濃縮還元」という表示がないもの
- 原材料リストが短いもの(添加物が少ない証拠)
- 「香料」「酸化防止剤」「安定剤」などの表示がないもの
- 「ストレート」や「濃縮還元でない」と表示されているものを選ぶ
- 「緑黄色野菜使用」と記載されているものを選ぶ(栄養価の高い野菜が含まれている証拠)
上手に野菜ジュースを選び活用しましょう

漢方では「食養生(しょくようじょう)」という考え方があり、日々の食事が未来の健康を作ると考えます。
野菜ジュースだけに頼らず、生野菜・温野菜・発酵野菜など、さまざまな形で野菜を味わうと、身体は必要な栄養素をバランスよく吸収します。
わたしがよく作るのは蒸し野菜です。せいろに多種類の野菜を並べて一気に蒸すだけ。人参、ブロッコリー、かぼちゃなど色とりどりの野菜を使うと見た目にも楽しいです。肉や魚も一緒に蒸してしまえば立派な献立になりますよ。洗い物も少ないのが嬉しいポイントです。
「野菜の栄養を補える漢方薬はありますか?」というご質問をよくいただきます。当店でおすすめしているのは「バイオリンク」です。手軽に野菜不足を補えるうえ、独特の成分で健康維持が期待できます。ご愛飲いただいているお客さまはベジチェックが好成績なんですよ。
漢方では特定の栄養素だけでなく、身体全体のバランスを整えることを重視します。野菜不足による具体的な不調(例:お肌の乾燥、便秘、疲れやすさなど)がある場合は、それぞれの症状に合わせた漢方薬をご提案しますので、ぜひご相談くださいね。