ゴールデンウィークが終わったとたん、気分が落ち込んだり、やる気が起きなかったり……。もしかしたら五月病かもしれません。放っておくと長期的な心身の不調につながることもあります。

今回は、漢方でできる五月病対策をご紹介しましょう。

未病を知ることで病気を未然に防ぐ

病気になる前のサイン

東洋医学では、病気になる前の状態を未病(みびょう)と呼びます。未病は「まだ病気ではないけれど、そのままにしておくと病気になってしまう状態」です。健康と病気の間にあるグレーゾーンと考えると分かりやすいでしょう。

多くの人が気づかないうちに未病状態になっていると考えられます。自覚症状を無視せず、身体からのサインに早く気づくのが健康維持の第一歩です。

五月病も未病の代表例

五月病とは、ゴールデンウィークが終わる頃から突然やる気がなくなったり、疲れやすくなったりする心身の不調です。4月の新生活の緊張感や、環境変化からくるストレスの反動なんですね。

医学的な病名ではありませんが、東洋医学では「気の流れが滞った状態」「気力が低下した状態」などと捉えます。五月病は未病の典型例なのです。

放置すると慢性的な不調の原因に

未病状態の五月病を放置すると、自律神経の乱れや免疫力の低下を引き起こし、長期的な不調へと発展する可能性があります。

五月病を機に不眠や胃腸障害などの身体症状が現れ、そのまま夏バテや秋うつへとつながるケースもありますよ。免疫力が低下すると感染症にもかかりやすくなります。

五月病でよく見られる心と身体の不調

【心の不調】気持ちが晴れない

五月病の心の不調には以下のような症状があります。

  • なんとなく気分が沈む
  • イライラする
  • 不安感が強まる

新入社員や新入生など新しい環境に入ったばかりのひとや、責任感が強く真面目な性格のひとに多く見られます。
当店のお客さまも、5月に心の不調を感じる方が多いですね。

【身体の不調】だるさと疲れが取れない

五月病による身体の不調は、以下のような形で現れます。

  • 疲れが取れない
  • だるさが続く
  • 食欲がない
  • 眠れない

これらの症状はエネルギーの巡り不足によるものと考えられます。

特にひとり暮らしを始めたばかりの方は、生活リズムの乱れから体調を崩しやすくなります。慣れない環境で緊張を強いられることもあるでしょう。

睡眠の質の低下を経験する方も多く、日中のパフォーマンスに影響が出てしまうんですね。

【生活の不調】やる気が出ずに日常生活に影響

五月病は「集中力が続かない」「やる気が出ない」など、日常生活にも大きな影響を与えます。仕事や学業に集中できず「このままでいいのか」という不安や焦りを生み出します。

期待と現実のギャップに対応するのが難しいひとや、ストレス対処法がわからないひとは、この状態に陥りやすいんですね。

五月病による生活の不調は、適切なケアがなければ長期化することもあるのです。

漢方で心と身体のバランスを整える

体質チェックで自分の不調タイプを知る

当店では、まず体質や症状のパターンを確認します。五月病の主なタイプには、以下の体質の方が多いです。

例えば、イライラや胸の詰まり感がある場合は気滞、疲れやすく気力がない場合は気虚の可能性があります。

体質に合わせた漢方薬を選ぶ

あなたの体質や症状に合わせて最適な漢方薬をご提案します。

  • 気滞の方向け
    加味逍遙散(かみしょうようさん)
    香蘇散(こうそさん)など
  • 気虚の方向け
    補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
    六君子湯(りっくんしとう)など
  • 血虚の方向け
    四物湯(しもつとう)
    当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)など

漢方薬は症状を改善するために役立ちますが、個々の体質や症状に応じて選ぶことが重要です。漢方薬を扱う薬剤師に相談しましょう。

生活習慣改善で根本から対策を

養生法も大切です。規則正しい生活リズム・バランスの良い食事・適度な運動など、東洋医学の考え方に基づいた生活習慣の見直しで、心身のバランスを整えましょう。

体内の巡りを促し、五月病の改善に役立つのは

  • 朝日を浴びる
  • 旬の食材を食べる
  • 入浴でリラックスする

あなたの心身が喜ぶような養生法を見つけてくださいね。

五月病は心と身体からのSOS!

五月病は決して甘えではありません。新しい環境での緊張感や責任、期待と現実のギャップなど、さまざまな要因が複雑に絡み合って起こる自然な反応です。

性格的に五月病になりやすい傾向の方もいます。

  • まじめで几帳面
  • 完璧主義
  • 他人への気遣いが強い

もちろんよい面もありますが、これらの傾向が強すぎるとストレスを感じやすかったり、自分を責めがちだったりして、疲れてしまうのです。

考え方を変えるのは難しいかもしれませんが「7割できればOK!」くらいな気持ちが持てるとよいですね。なによりもご自分を大切にしてあげてください。

漢方薬と養生法を組み合わせてみてくださいね。心身のバランスを整え、元気な状態を取り戻しましょう。

当店ではカウンセリングであなたのお悩みをじっくりお聞きします。あなたに合った対策を一緒に探していきましょう。お気軽にご相談くださいね。