
寒さが厳しく日が短い冬には、なんとなく気分が落ち込んでしまいますね。特に更年期の女性はホルモンバランスの変化も重なり、より強く心身の不調を感じやすいのです。
今回は、冬季特有の気分の落ち込みと漢方による身体ケアについてお話しします。
季節性の気分の落ち込みとは

冬季特有の気分の落ち込みは、日照時間の減少や気温の低下が主な原因となって起こります。更年期の女性はホルモンバランスの変化も重なり、より強く症状を感じやすくなります。
日照不足がもたらす心身への影響
朝日を浴びることで分泌されるセロトニンというホルモンは、精神の安定を保つのに重要な役割を果たしています。冬場は日照時間が短くなるのでセロトニンの分泌が減少し、心身の調子を崩しやすくなるんですね。
午前中の光を浴びると体内時計の調整がうまくいき、朝型の生活リズムを保ちやすくなります。日中の自然光不足は夜の睡眠の質にも影響を与えてしまいます。
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冷えによる血行不良の影響
冷えによる血行不良は全身に栄養が行き渡らない原因となり、疲れやすさや気分の落ち込みにつながります。女性は男性に比べて冷えを感じやすいのですが、更年期になるとその傾向が強まるんですね。
また、気づきにくいのが内臓の冷えです。冷えから胃腸の働きが弱まると栄養の吸収が悪くなりますし、肩こりや頭痛の原因にもなりますよ。東洋医学では、冷えは気持ちの落ち込みと深い関係があると考えます。
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PMSと季節性の変化
生理開始の2週間ほど前から起こるPMS(月経前症候群)。イライラや憂うつ感といった精神的な症状に加え、痛みやめまいなど身体的な症状にも悩まされますね。冬季はPMSの症状がより強く感じられることがあります。
原因は、日照時間の減少によるセロトニンの低下と、女性ホルモンの変動。更年期に近づくにつれバランスが崩れやすくなり、PMSがより気になる方も多いんですね。
チェックしてみましょう!冬のPMS度チェック
- 普段のPMSより憂うつ感が強くなる
- 身体の冷えが気になる
- 疲れやすさが増す
- 食欲の変化が大きい
- 休息を多く必要とする
チェックが多いほど、冬のケアが大切かもしれません。
気分の落ち込みが起こる主な原因

冬季の気分の落ち込みには、いくつかの要因が重なっています。環境の変化やライフスタイルなども心身に影響を与えているのです。主な原因を探ってみましょう。
体内時計の乱れ
朝は暗いうちに家を出て、帰宅時にはすでに日が沈んでいる。そんな生活を送る方も多いのではないでしょうか。自然な光を浴びる機会が減ると、体内時計が乱れやすくなります。
冬は光が不足しがちなので、体内時計が少しずつずれていきます。夜はなかなか眠れず朝の寝覚めが悪いなど、睡眠リズムの乱れを感じやすくなるかもしれません。
ホルモンバランスの変化
更年期に入ると、女性ホルモンの分泌量が少なくなります。更年期と冬の気候が重なると、さらに症状が気になるかもしれません。
冬が更年期症状に与える影響
- 冷えによる血行不良
冷え症状を強め体温調節がしにくくなる - 自律神経の乱れ
乾燥や寒暖差でイライラや不眠が増える - 気圧の変化
低気圧が多くなり関節痛・筋肉痛が悪化する - 精神的ストレス
セロトニン低下で気分が落ち込む
運動不足と生活習慣の乱れ
寒さのために外出や運動が減る方も多いでしょう。暖房による室内の乾燥は、のどや鼻の粘膜を刺激するだけでなく、身体の冷えにもつながるんですよ。
冬場の生活習慣の乱れは悪循環を生みやすいので、チェックしてみてください。
冬の生活習慣チェック
- 運動不足 → 代謝が低下 → 冷えやすい身体に
- 暖房への依存 → 室内外の温度差 → 自律神経の乱れ
- 乾燥 → 喉や鼻の不調 → 睡眠の質低下
- 食生活の偏り → 栄養バランスの乱れ → 疲れやすい身体に
一つひとつの習慣は小さくても、重なると心身に大きな影響を与えます。意識的に生活習慣を整えることが大切なんですね。
漢方で整える! 心と身体のバランス

東洋医学には、季節の変化に合わせて心と身体のバランスを整える知恵が詰まっています。漢方薬と生活習慣の両面からアプローチし、冬を心地よく過ごしましょう。
気血水の乱れを整える漢方薬
漢方では、心と身体の不調を「気・血・水」のバランスの乱れとして考えます。冬に気分が落ち込みやすいのは、3つのバランスが崩れやすい季節だからなんですね。
- 気:身体を巡る生命エネルギー。乱れると気分の落ち込みやだるさに
- 血:栄養を運ぶ働き。巡りが悪いと冷えや肩こりの原因に
- 水:水分バランス。乱れるとむくみや冷えの原因に
寒い季節に更年期症状に悩む方には、以下の漢方薬をおすすめすることがあります。
- 加味逍遥散(かみしょうようさん)
更年期の方に使用される代表的な漢方薬 - 抑肝散(よくかんさん)
イライラが気になるときに使われる - 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
緊張が気になる際に用いられる
体質に合わせた漢方薬の選び方
漢方薬は、体質や症状に合わせて選ぶことが大切です。同じような症状でも、体質によって選ぶ漢方薬が変わってくるんですね。
漢方医学では、個人の体質や症状を「証」として分類します。その中でも基本となるのが「虚証」「実証」「中間証」です。これらの概念は、適切に選薬する上で必要なものです。あなたはどのタイプに当てはまりますか?
漢方でよくみる体質の特徴
- 虚証:疲れやすい、冷えやすい、やせ型
- 実証:体力がある、のぼせやすい、血色がよい
- 中間証:虚証と実証の中間でバランスがよい
体質に加えて、ストレスの感じ方や生活環境なども考慮します。薬剤師に相談し、自分に合った漢方薬を見つけましょう。
漢方と相性の良い生活習慣
漢方薬の服用とともに、生活習慣を見直しましょう。冬の時期に特に意識したい習慣をご紹介します。
朝のスタートを大切に
- 少し早めに起きて朝日を浴びる時間を作る
- 身体が温まる白湯から始める
- 朝食は温かい食事を意識する
身体を冷やさない工夫
- こまめな水分補給を心がける
- 冷たい飲み物は控えめにする
- 首・手首・足首を冷やさない
リズムを整える習慣
- 就寝時間を一定に保つ
- 散歩など軽い運動を取り入れる
- 入浴でゆっくり身体を温める
生活習慣は少しずつ変えていくのが続けるコツです。無理のない範囲で始めてみましょう。
落ち込みの原因を探しケアしましょう

わたしも日照時間が短いと憂鬱になったり焦ったりします。「気持ちに余裕がない」と表現すればよいでしょうか。
人間の体内時計は、24時間前後です。24時間より長いひともいれば短いひともいます。わたしたちは1日24時間のサイクルで動いているので、体内時計のずれが大きいと生活しにくくなるんですね。このずれを修正するのが朝の光なのです。朝のスタートを大切にしましょう。
寒い日は温かいお茶を入れて、ゆっくりと深呼吸する時間を作ってみませんか? 身体と心はつながっています。小さな習慣が心身を整えるきっかけになりますよ。
当店ではお一人おひとりに寄り添いながら、あなたに合う漢方薬選びのお手伝いをしております。冬の気分の落ち込みや更年期の不調で悩んでいらっしゃる方は、どうぞお気軽にご相談ください。
東洋医学の知恵を活かして、心と身体の健康づくりを一緒に考えていきましょう。