春は始まりの季節。暖かくなるとワクワクしてエネルギーが湧いてきますよね。
一方、身体は冬のあいだ体内に溜まった不要物を排出しようとします。自律神経が乱れるなど「肝(かん)」に関連した不調が出やすい時期なのです。
五臓六腑の肝とは

肝(かん)は全身の健康を保つための臓です。「肝心」という言葉があるように、身体にとって非常に大切なものなんですね。
肝の役割を大きくふたつに分けると、疏泄作用と蔵血作用になります。
疏泄作用(そせつさよう)
疏泄作用は新陳代謝と考えてください。気血水(きけつすい)の巡りをスムーズにし、健康を保ちます。
疏泄は情緒の安定にも関わっています。疏泄が過剰になるとイライラしがちですし、不足すると憂鬱な気分に落ち込んでしまうのです。
蔵血作用(ぞうけつさよう)
血を貯蔵し、血量をコントロールするのが蔵血作用です。血を保存しておき、必要があれば身体の各部に送り出してくれます。全身の血液量を調節する役割もありますよ。
その他の働き
- 解毒作用
- 胆汁の分泌
- 筋肉の動きを滑らかにする
- 目の機能を保つ
アルコールや薬物の解毒作用はよく知られていますね。
肝の不調で現れる症状

自律神経が乱れる
肝は自律神経や情緒をコントロールしています。調節できなくなるとイライラしたり不安感が募ることも。肝は「怒」の感情と密接な関係にあるんですよ。
目の異常
肝の状態は目に現れます。目には毛細血管がたくさん通っており、多くの血が必要なのです。次のような症状は、肝の働きが鈍っているからかもしれません。
- 視力低下
- ドライアイ
- 目の疲れ
- 目のかすみ
- 目の周りのクマ
生理不順
肝は気血水(きけつすい)に深く関わっているので、機能が落ちると生理不順になりがちです。
そのほかの異常
- 筋肉→手足のしびれ・こむらがえり
- 毛髪→抜け毛・髪が細くなる
- 爪→変形・二枚爪
肝の不調は全身に及ぶのです。
肝の不調を補うには
食養生

バランスのよい食事が何よりですが、あまり神経質にならずに。たんぱく質・野菜・ご飯と考えて気楽にいきましょう。「ちゃんと食べなくちゃ」というストレスのほうが害になりますからね。
手に入りやすくおいしい旬の食材を食べましょう。菜の花・うど・ふきなどは食物繊維が多く腸をきれいにしてくれます。
春に苦味野菜を食べたくなるのは気持ちを落ち着けるため、といわれています。必要なときに自然が食材を提供してくれるなんて不思議ですね。鯛やハマグリも肝の働きを助けてくれますよ。
苦味野菜についてはこちらをどうぞ
春は肝(かん)の季節|苦味野菜でイライラやだるさにサヨナラ
イライラするひとには香味野菜がおすすめです。ネギやショウガ、大葉などを料理のアクセントに。
疲れを感じたら酸味をプラスしてみましょう。梅干し・レモン・グレープフルーツなどはビタミンCや食物繊維が豊富です。
生活習慣

ストレス緩和に努めましょう。ストレスは肝にダメージを与え、疏泄作用を妨害してしまうのです。
春は新生活が始まるなど環境がガラッと変わるひとが多いですね。緊張するのも無理はありません。休養を多めにとり、お休みの日はリラックスして過ごしましょう。
肝と目は直結しています。目を酷使すると肝に負担がかかってしまいますよ。ときどき目を休ませ、疲れたら蒸しタオルを当てるなどして、血流を促してください。
気温があがると薄着になりがちですが、身体は案外冷えています。肝はエネルギー代謝に関わっていますので、適切な体温を保つのは肝の働きを助けることになります。
身体と心の不調は春のせいですよ!

草花もひとも興奮が芽吹く季節。眠いのもイライラするのも、みんな春のせいですからね! 春に起こりがちな症状は肝と関係するものが多いのです。
なかでもストレスの影響は大きいのですが、春は環境が変わるシーズンですのでどうしても気が張ってしまいますよね。
あまり緊張している実感がなくても疲れていることがあります。頑張り屋さんほど緩やかにスタートするくらいの気持ちでいきましょう。
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毎回のカウンセリングであなたの状況をお聞きします。必要なものを必要なときに取り入れられますよ。