
「元気・気力・気分・やる気」。日本語には「気」がつく言葉がたくさんありますね。
普段は何気なく使っていますが、東洋医学で「気」は心と身体を支える大切な存在。気持ちの揺れや疲れやすさも、東洋医学では「性格だから」と片づけず気の働きと合わせて考えます。
「気にしすぎる・気疲れする」といった状態も、気の視点から眺めると今までとは違う見えかたになるかもしれません。
気にしすぎてしまう背景には「気」の働きがある

気は、身体を動かし、内臓を働かせ、心を支えるエネルギーです。目には見えませんが、東洋医学では生きていくために欠かせない存在として考えられています。
気は心と身体を支えるエネルギー
気には、身体を温めたり、食べたものから得た栄養を全身へ運んだり、身体を守ったりする働きがあると考えられています。
心の働きにも関わるとされているため、気の働きが弱くなったり、巡りが滞ったりすると、心身にさまざまな変化が現れる場合があります。
元気が出ない、気力が続かない、気分が落ち込みやすいと感じるとき、東洋医学では気の状態を確認しながら、身体全体のバランスも合わせて見ていくのです。
気が不足すると心も身体も疲れやすくなる
十分に休んでいるつもりでも疲れが取れなかったり、何をするにも気力が湧かなかったり。店頭でも多い相談で、東洋医学では気虚(ききょ)と呼ばれる状態です。
忙しい毎日が続くと、心身を支えるエネルギーが不足しやすくなるんですね。朝から身体が重く感じたり、以前なら無理なくできていたことが負担に感じたりする場合は、気が不足しているサインとして捉えることがあります。
気が巡らないと小さなできごとが気になってしまう
気は不足するだけでなく巡りが滞ることもありますが、この状態は気滞(きたい)です。
気滞には精神的なストレスが大きく関わっています。なんとなくイライラする、ため息が増える、胸や喉がつかえるように感じる。気持ちがすっきりしない日が続くひともいるでしょう。
小さなできごとに対して過敏になりやすいのも、気滞の特徴のひとつとされています。
気が乱れやすいひとに見られる傾向

心身のバランスは、生まれ持った体質だけで決まるわけではありません。毎日の暮らしや環境からも影響を受けます。気にしすぎて疲れやすいひとに共通している傾向をみてみましょう。
感情をため込んでしまう
まじめで責任感が強く、周囲への気配りを欠かさないひとは、自分の感情を後回しにしがちです。「相手にどう思われるだろう」「迷惑をかけたくない」と考え、怒りや悲しみを心のなかにしまい込んでしまうんですね。
感情を抑えていると大きなストレスとなり、気の巡りにも影響します。ストレスが積み重なる→気が滞る→さらに気持ちの余裕を失うという悪循環につながる場合もあるのです。
頭を休ませる時間が少ない
仕事や家事が一段落しても、明日の予定や気になるできごとを考え続けてしまう。身体は休んでいても、頭のなかは忙しいままという状態です。
スマートフォンから次々に入ってくる情報も、頭を休ませる時間を減らしています。考えごとや情報に追われる毎日では、気持ちの緊張も解けにくいもの。心身の疲れが積み重なり、気の巡りにも影響しているかもしれません。
頑張り続ける毎日になっている
仕事・家事・家族の世話など、毎日やるべきことに追われていませんか。多少疲れていても「あと少しだけ」と無理を重ね、気づけば休む余裕がなくなっていることも。
頑張り続ける生活は、心だけでなく身体にも負担をかけます。疲労が蓄積すると気を消耗しやすく、ストレスによって巡りが滞る原因にもなるんですね。忙しさが当たり前になると、ますます休めなくなってしまう傾向があります。
心が少し軽くなる気の整えかた

毎日の過ごしかたも心身のバランスに関わります。心と身体の緊張を緩めましょう。ほっとする時間につながるかもしれません。
呼吸を整えて緊張を緩める
ストレスを感じると呼吸が浅くなり、肩や首にも力が入りがちです。気持ちが落ち着かないときは、ゆっくり息を吐いてみましょう。
肩の力を抜き、鼻から息を吸って、口からゆっくり長く吐き出します。呼吸に意識を向けると、次々と浮かぶ考えごとから少し距離を置けるでしょう。仕事や家事の合間にも取り入れやすく、心身の緊張を緩めるきっかけになります。
身体を動かして気分転換する
適度に身体を動かす習慣もおすすめです。散歩や軽いストレッチなど、心地よく続けられる運動を選びましょう。
天気のよい日は外に出て、景色を眺めながら歩くのもいいですね。外気に触れながら過ごす時間は、気分転換にもつながります。運動する時間が取れない日は、背伸びしたり肩を回したりするだけでもいいのです。無理なく身体を動かしましょう。
食事や香りで気持ちを整える
東洋医学では、香りのよい食材は気の巡りを助けるとされています。シソ・ミョウガ・柚子などの香味野菜や柑橘類を、普段の食事に取り入れてみましょう。
温かいお茶をゆっくり飲む時間も、気持ちを切り替えるきっかけになります。ジャスミン茶やカモミールティーなど、好みの香りを楽しむのもよいでしょう。食事の時間を慌ただしく済ませず、味や香りを楽しむ余裕を持ちたいですね。
気の乱れは体質に合わせたケアを

「気にしすぎるのは性格だから」と思いがちですが、心身の状態・環境・体質など、複数の要因が関係しています。心と身体はつながっているので、ストレスからくる気の乱れが身体に現れることもあるんですね。
身体の不調から来店される方も、深くお話しを伺っていると、気の乱れが関わっていると考えられるケースが多いのです。現代社会で受けるストレスの大きさを考えてしまいます。
また、ストレスは“楽しさ”のなかに隠れている場合もあります。お客さまの実例をご紹介しますね。「友人に会うのは嬉しいし楽しいのに、その晩は必ず寝付けなくなってしまう」とお悩みのYさんです。
彼女の場合、楽しい感情と気疲れによる心身の消耗が同時に起こっていると考えられます。感受性が高く気を遣いがちなひとは、楽しい時間を過ごしたあとでも疲れを感じることがあるんですね。Yさんには、心身の状態や体質に合わせて漢方薬をお選びしました。
気に関するお悩みでよく服用される漢方薬には、以下のようなものがあります。
- 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
- 加味逍遙散(かみしょうようさん)
- 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
- 香蘇散(こうそさん)
症状や体質により、合う漢方薬は違ってきます。漢方薬利用をお考えの方は、薬剤師に相談してくださいね。
※長引く疲労、気分の落ち込み、胸や喉の違和感などは、医療機関での評価が必要な場合もあります。




