
生理のとき、レバーのような血の塊が出てきてドキッとしたことはありませんか。多くの女性が経験する現象なのですが、いつもより大きな塊がでてきたり回数が増えたりすると、不安になることもあるでしょう。
塊ができる背景には、子宮内膜のはたらき・ホルモンのゆらぎ・冷えなど、いくつもの要因が関係しています。レバー状の塊が出る理由と注意すべきサイン、東洋医学の視点から見た身体との向き合い方を書きました。
レバー状の塊が出るのはなぜ?

生理中に見られる血の塊は、必ずしも異常ではありません。子宮の自然な働きであることも多いのです。生理の仕組みを理解しましょう。
子宮内膜がはがれる自然なはたらき
妊娠が成立しなかったとき、子宮の内側を覆う子宮内膜がはがれ落ち、血液とともに体外へ排出されます。この状態が生理です。
血の量が多いと流れが追いつかず、一時的に固まり、塊として出ることがあるんですね。生理1〜2日目など、経血量が多い時期に見られやすい現象です。
ホルモンの変動と血流の関係
女性ホルモンのバランスが乱れると、子宮内膜が厚くなりすぎたり、はがれかたが不均一になったりします。さらに冷えやストレスで血流が滞ると、血が固まりやすくなるのです。
ホルモンと血流は生理の状態に深く関係しているので、生理中の症状や体調に変化をもたらします。
東洋医学でいう瘀血のサイン
東洋医学では、黒っぽい経血や塊は瘀血(おけつ)と呼ばれる状態の表れ。血の流れがにぶく、巡りが悪くなっているサインです。瘀血があると、痛み・冷え・肩こり・肌のくすみなども起こりやすくなります。
塊が出やすいのはこんなとき

同じ「塊が出る」という症状でも、背景はひとにより異なります。生活リズム・食習慣・ストレス・体質などが、生理の状態に関わっているのです。
身体の冷えによる血行の滞り
冷たい飲みものや薄着の習慣は血の巡りを妨げます。身体が冷えると子宮周辺の血流も悪くなり、血液が固まりやすくなるのです。慢性的な冷えが続くと、経血の状態にも影響が出やすくなります。
ストレスと自律神経の乱れ
強いストレスはホルモンの分泌をコントロールする自律神経に影響します。ホルモンの波が乱れると、経血量や周期、塊の出方にも変化が出ることがあるのです。気づかないうちに心と身体が緊張している場合もあるため、休息が大切なんですね。
生活リズムや食習慣の偏り
夜更かしや不規則な食事、甘いものや冷たいものの摂りすぎは、血の流れを悪くします。生理前後は、身体をあたためる食事を意識すると巡りが整いやすくなりますよ。体調に合わせて、消化のよい食材を選ぶのもポイントです。
病気が隠れている場合もある

血の塊そのものは自然な現象であることも多いのですが、病気が隠れている場合もあります。子宮の病気は不妊症につながることも多く、流産や早産のリスクが高まるケースも報告されています。以下の症状があったら早めの受診を心がけましょう。
子宮筋腫
子宮筋腫は、子宮の筋肉にできる良性のしこり。生理のときレバー状の塊が出てくるのは、筋腫が子宮の収縮を妨げ、経血の排出がスムーズにできなくなるためです。他によく見られる症状には以下があります。
- 経血量が多くなる
- 生理が長引く
- 強い生理痛
- 不正出血
子宮筋腫の場合、大きな塊が繰り返し出ることがあります。生理中に5センチ以上の大きな血の塊が頻繁に出るようなら、婦人科を受診しましょう。
子宮内膜症・子宮腺筋症

子宮内膜の組織が筋肉のなかや他の場所に入り込み、炎症を起こす病気です。
〈共通の特徴〉
- 血の塊が排出される
- 強い生理痛
- 経血量が多くなる
〈子宮内膜症の特徴〉
- 子宮以外の場所(卵巣や骨盤内など)に内膜組織が増殖する
- 排便時や性交時にも痛みを感じることがある
〈子宮腺筋症(しきゅうせんきんしょう)の特徴〉
- 子宮の筋層内に内膜組織が増殖するため子宮全体が大きくなる
- 生理の前後に痛みが強くなる傾向
両者は似た症状を持ちますが、発生する場所や痛みの特徴に違いがあります。
過多月経やホルモンバランスの乱れ
通常よりも経血量が多い状態が過多月経(かたげっけい)です。ホルモンの分泌異常があると、子宮内膜が異常に厚くなり、はがれ落ちる際に大きな血の塊になることがあります。
ナプキンを1〜2時間おきに替えるほど出血量が多い場合や、8日以上出血が続く場合は注意が必要。放っておくと貧血や疲労感が強くなることもあります。5センチを超える塊が何度も出るようなら、婦人科での受診を検討しましょう。
血の巡りを整えましょう

生理のたびに塊が出ると不安になりますね。「少し巡りが滞っているよ」という、身体からのサインかもしれません。強い痛みや出血が続くときは、迷わず婦人科を受診してください。原因を知ると安心につながります。
経血の変化を目安に体調のサインを知るヒントとして、以下を参考にしてみてください。
生理の経血が教えてくれる|あなたの身体からのサイン
レバー状の塊は、東洋医学では瘀血(おけつ)と捉えます。「血の巡りを整える」「冷えを防ぐ」など、体質に合ったケアで、身体がリズムを取り戻していくでしょう。
瘀血の体質には、身体の巡りを助ける選薬をします。一例をあげておきますね。
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):血の滞りや冷えを感じやすい方に
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):疲れやすく、むくみを感じるタイプに
- 加味逍遙散(かみしょうようさん):イライラやのぼせを伴う場合に
体質や体調により、合う漢方薬は異なります。自己判断で服用するのではなく、薬剤師に相談してくださいね。





