新年度が始まり、健康診断のお知らせが届く季節となりました。「忙しくて時間がない」「症状がないから大丈夫」と、健康診断を後回しにしていませんか?

健康診断を避ける心理には「健康でありたい」という強い願いが隠れていることがあります。健康診断の重要性と、漢方の視点から見た健康維持について考えてみました。

健康診断は未来の自分への大切な投資

健康診断は病気の発見だけが目的ではありません。生活の質を向上させ、未来の健康を守るための重要な手段です。血液検査や尿検査などを通じて、自覚症状が現れる前の段階で身体の変化をとらえることが可能なのです。

特に腎臓病や生活習慣病は初期には症状がほとんど現れないため、定期的な検査が欠かせません。

数値が教えてくれる身体のSOS

健康診断では、糖尿病の指標となるHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)、腎機能を示すクレアチニン値、血圧、コレステロール値など多くの数値を確認します。例えば、尿蛋白が検出されれば「腎臓に負担がかかっているサインかもしれない」と疑うきっかけにもなりますね。

女性は更年期に入るとエストロゲン減少に伴い、中性脂肪やコレステロール値が上昇しやすくなります。健康診断では身体からのSOSを数値でキャッチできるので、早めの対策が可能になります。

年代・性別に合わせた健康診断

一般的な健康診断に加え、年齢や性別に合わせた特別な検査や検診も増えています。

  • 脳ドック
  • 骨粗しょう症検査
  • 子宮がん検診
  • 乳がん検診
  • 前立腺がん検査
  • 更年期ドック

40代になったら腎機能検査が含まれる健診がおすすめです。会社などで受けられる健康診断では検査項目に制限がありますので確認してみましょう。特定項目の検査は医療機関で受けられます。年齢や性別に応じた検診を組み合わせると、より効果的な健康管理ができますよ。

検査前日の注意点

正確な結果を得るために、検査前の注意点を把握しておきましょう。

  1. 前日の食事:消化のよい食事を心がけ夜9時までには済ませる
  2. 当日の食事:検査が午前中の場合は朝食をとらないのが望ましい
  3. 水分:少量の水やお茶はOKな場合が多い
  4. 飲酒:前日からの禁酒が推奨される
  5. 薬の服用:持病がある場合は検査前後の服用について確認しておくと安心

健康診断の前日に激しい運動をすると、クレアチニン値が一時的に上昇することがあります。検査前日は通常の生活を心がけ、暴飲暴食や過度な運動は避けるのが望ましいですね。

検査内容によっては特別な指示が出ることもありますので、確認しておきましょう。正確な結果があってこそ、適切な健康管理ができるようになります。

健康診断を避けてしまう理由と向き合う

健康診断を避ける理由はさまざまですが、多くの場合は不安面倒という感情が根底にあるようです。あなたの感情と向き合ってみましょう。健康診断の本当の価値に気づけると思います。

健康診断を先延ばしにしているひとは、以下の理由に心当たりがないでしょうか。自分の気持ちを理解することが、行動を変える第一歩です。

理由①:時間がない

多くのひとが「仕事が忙しい」「家事や育児で余裕がない」と、健康診断を後回しにします。平日に時間を確保するのは難しいですよね。

最近では土曜日や早朝に受診できる医療機関も増えていますし、企業によっては就業時間内の受診を認めていることもあります。1年に1回、2時間程度の時間投資で「何年も先の健康を守れる」と考えてみませんか。

理由②:費用が心配

自費診療の場合、費用負担が気になることもあるでしょう。多くの自治体では40歳以上のひとを対象に特定健康診査(特定健診)を実施しており、数千円程度で受けられることがあります。特定健診は経済的にも負担が少なく、健康管理の一環として非常に有用です。

会社員のひとは、企業健診が無料または低額で受けられる場合が多いですね。病気の早期発見・早期対応による医療費削減を考えると、健康診断はとても経済的な選択といえます。

理由③:病気が見つかるのが怖い

「異常が見つかったらどうしよう」という不安から健康診断を避けるケースもあります。しかし初期段階で発見できれば、生活習慣の見直しだけで改善できることも多いのです。

たとえば、血糖値が少し高めでも、初期なら食事や運動の工夫で正常範囲に戻せる可能性がありますよ。発見が遅れるほど治療が長期化したり、生活制限が厳しくなったりするリスクが高まるのです。

健康でいたい! 願いをかなえるために

方法①早期発見で安心を手に入れる

健康診断を定期的に受けていれば、小さな変化に気づきやすくなります。たとえば、血圧が少し高めになった段階で対策を始めれば、深刻な高血圧に進行するリスクを減らせます。

早期発見は「健康でありたい願い」を実現するための確実な一歩なのです。特に40代以降は年に1回の健康診断を習慣にしましょう。

方法②自分のペースを守りながら健康を管理する

健康診断の結果から、自分に合った健康管理が見えてきます。数値の意味を知れば「自分の身体に必要なこと」が明確になり、ムダな健康法に振り回されずに済むんですね。

コレステロール値が高めなら油の摂り方を見直し、貧血傾向があれば鉄分を意識するなど、効率的な健康管理ができるようになりますよ。

方法③漢方の知恵を取り入れた未病対策

漢方医学では「未病(みびょう)」という考え方があります。未病とは病気ではないが完全な健康でもない状態です。健康診断でいえば「要経過観察」や「境界域」といわれるケースですね。

このような段階からでも体質改善していけば、病気になりにくい身体づくりが可能になるのです。

※「境界域」という結果は血糖値に関連して使用されることが多く、糖尿病のリスクが高まっている状態を示します。

未病対策の例

  • 瘀血の改善
    普段から血圧のコントロールに努める
  • 血虚の改善
    疲れにくい・貧血になりにくい身体にしていく
  • 水滞の改善
    体内の水分循環を促す生活習慣を

健康診断で「少し数値が高め」と指摘を受けたとき、西洋医学では様子見となるのが一般的ですが、漢方医学では体質改善を考えます。未病の段階から生活習慣の見直しとともに対策を探しましょう。

健康診断の数値と漢方

健康診断は、総合的な健康管理の第一歩です。健康状態を把握できれば改善点が見えてきますので、予防の一環でもあります。生活習慣病や腎臓病などは初期の自覚症状がなく、不調を感じて初めて病気が判明することが多いのです。定期的に健康診断を受けていれば数値の変動がわかり、症状が現れる前に適切な治療が受けられるでしょう。

健康診断の結果で「数値が少し高い」「境界域」と告げられたら不安になりますよね。このような「未病」の状態こそ、漢方の得意分野です。西洋医学では、数値が正常範囲を少しだけ超えているような場合は経過観察になることが多いんですね。健康診断の結果を持ってご来店いただければ、あなたの体質や生活習慣に合わせた漢方薬や養生法をご提案します。

安心して健康診断を受け、結果を前向きな健康管理に活かしましょう。あなたの「健康でありたい」という願いを応援します。