妊活中の女性から、子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)について質問されることがあります。情報には安心材料もあれば不安要素もあるので迷ってしまいますね。

HPVワクチンは子宮頸がんを予防するためのワクチンですが、将来妊娠を希望する女性にとっても大切な意味があります。

HPVワクチンの役割と、将来の妊娠との関わりについて整理しました。

HPVワクチンとは?

HPVワクチンについて理解するため、HPVというウイルスについても知っておきましょう。ワクチンの役割がわかると、接種する意味もイメージしやすくなります。

HPVとはどのようなウイルス?

HPV(ヒトパピローマウイルス)は、主に性交渉によって感染するウイルスです。

HPVは特別なウイルスではありません。性交渉の経験がある女性の50%〜80%はHPVに感染しているといわれています。感染しても免疫の働きによって自然に排除される場合がほとんどですが、一部では感染が長く続くこともあります。

HPV感染と子宮頸がんの関係

HPVへの持続的な感染は、子宮頸がんの主な原因と考えられています。

感染したすべてのひとが子宮頸がんになるわけではありません。しかし、感染が続くと子宮頸部の細胞に変化が起こり、子宮頸部異形成(しきゅうけいぶいけいせい)と呼ばれる前がん病変へ進むことがあるのです。異形成が進行すると、治療が必要になる場合もあります。

HPVワクチンの役割

HPVワクチンは、子宮頸がんの原因となるHPVへの感染を予防するワクチンです。すべてのHPVへの感染を防ぐわけではありませんが、子宮頸がんの予防に役立つ方法のひとつとして位置づけられています。

子宮頸がんは若い世代にもみられる病気です。将来の妊娠という視点からも、HPVワクチンの役割を考えてみましょう。

妊娠を見据えてHPVワクチンを考えてみる

将来妊娠を希望している女性にとって、HPVワクチンにはどのような意味があるのでしょうか。子宮頸部異形成との関係からみていきましょう。

HPV感染を防ぎ子宮頸部異形成のリスクを減らす

HPVワクチンは、子宮頸部異形成そのものを予防するワクチンではありません。HPVへの感染を予防し、子宮頸部異形成のリスクを減らすことが期待されています。

すでに感染しているHPVを排除したり、子宮頸部異形成を治療したりするものではないため、HPVに感染する前の接種が勧められています。

子宮頸部異形成が進行した場合の治療

子宮頸部異形成が進行すると、病変を取り除くために円錐切除(えんすいせつじょ)という手術をする場合があります。

子宮頸部異形成と診断されても、すべてのひとが円錐切除の対象になるわけではありません。異形成の程度や経過によっては、定期的な検査で様子を見るケースも。

治療方針は、病変の状態を確認したうえで医師が判断します。

子宮を守り将来の妊娠につなげる

HPVワクチンは、将来妊娠を希望する女性にとって、身体を守る選択肢のひとつです。子宮頸部異形成のリスクが低くなれば、子宮の健康にもつながります。

また、円錐切除が必要になった場合、妊娠しにくくなるのでは? と心配される方もいるでしょう。当店でもよくいただく質問ですので、次で詳しくお伝えします。

当店でよくいただく質問

HPVワクチンや子宮頸部異形成について調べ始めると、新たな疑問も出てくるでしょう。将来妊娠を希望する女性からよく聞かれる質問にお答えします。

円錐切除すると妊娠しにくくなりますか?

円錐切除を受けても、妊娠にはほぼ影響しないと考えられています。実際に、円錐切除後に妊娠・出産する女性は多くいます。「円錐切除=妊娠できない」と考える必要はありませんが、不安があれば、治療前に主治医へ相談しておくと安心です。

一方で、妊娠後は注意が必要です。円錐切除を受けると、流早産や前期破水のリスクが高くなるとの報告もあります。円錐切除によって子宮頸部が短くなり、頸管粘液が出にくくなるのが原因のひとつといわれています。妊娠後は産婦人科医に円錐切除の経験を必ず伝え、慎重に経過観察しましょう。

HPVワクチンは妊娠に影響しますか?

現在までの研究では、HPVワクチンの接種により妊娠しにくくなるという根拠は示されていません。

妊娠を希望している場合は、妊娠前に接種を完了するよう勧められています。通常は一定の間隔をあけて2〜3回接種するため、余裕をもって計画するとよいでしょう。

妊娠に気づく前に接種した場合でも、現時点では赤ちゃんへの影響は確認されていません。

子宮頸がん検診は必要ですか?

必要です。HPVワクチンは子宮頸がんの予防に役立ちますが、すべてのHPVへの感染を防げるわけではありません。ワクチンを接種した後も、定期的に子宮頸がん検診を受けましょう。

ワクチンはHPV感染を予防し、子宮頸がん検診は病気の早期発見につながります。それぞれ役割が異なるので、どちらも大切なのです。

正しい情報をもとに納得できる選択を

妊娠を考え始めると、身体に関わることはいつも以上に気になるものです。HPVワクチンについても、さまざまな情報を目にすると迷ってしまいますね。

HPVワクチンは、子宮頸がんから子宮を守るための、選択肢のひとつです。また、万が一子宮頸部異形成となり円錐切除を受けた場合でも、妊娠しにくくなるわけではありません。必要以上に不安にならず、正しい情報を得るよう意識してください。

また、HPVワクチンだけですべての子宮頸がんを防げるわけではありません。多くの女性はHPVに感染している可能性があります。免疫力が下がるとHPVの持続感染につながりますので、ストレス回避や睡眠時間の確保などにも目を向けてくださいね。定期的な子宮頸がん検診も続けながら、ご自身の健康を守っていきましょう。

インターネットやSNSには多くの情報がありますが、古い情報や根拠がはっきりしないものも混ざっています。厚生労働省などの公的機関が発信している情報も参考にしながら、納得できる選択につなげてくださいね。

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