当店の看板を見てふらっと来店される方が時折います。健康診断で腎機能の低下を指摘され「漢方薬で何とかならないだろうか」という漠然としたご相談が多いです。受診にはためらいがあるものの、やはり気になって来店されたのが伝わってきます。

できる限りのお手伝いはしたいのですが、情報が不足していると適切なご提案が難しいんですね。腎機能の低下が気になる場合は、漢方相談の前に医療機関で現在の状態を確認しましょう。

初めて漢方相談を受ける前に知っておいていただきたいことや、相談をより有意義にするための準備についてお伝えします。

漢方相談は「身体の状態を知ること」から

腎臓は、自覚症状だけでは状態を判断しにくい臓器です。症状があっても腎機能の低下によるものとは限りません。反対に目立った症状がなくても腎機能が低下している場合もあります。まずは現状を知ることが先決です。

自覚症状だけでは判断できない

症状の背景には、腎臓病以外のものもあります。むくみはリンパ浮腫や他臓器の病気でも起こり得ますし、頻尿ならば加齢や泌尿器系の疾患も考えられます。生活習慣が関係している場合もあり、原因はさまざまなんですね。

症状だけで自己判断せず、身体の状態を確認することが重要です。

状態を知るための検査が欠かせない

腎機能は、血液検査や尿検査などの結果から総合的に評価されます。

  • 尿検査:尿中のたんぱく質とクレアチニン量を確認
  • 血液検査:血清クレアチニンを測定し、eGFR(推算糸球体ろ過量)を計算

※eGFRは腎機能を評価する目安となる数値です。

検査結果をもとに現状を把握し、今後の治療に活かしていくのです。漢方相談でも土台となる、大切な情報です。

自己判断が思わぬ見落としにつながることも

腎機能の低下には、ほかの病気が影響していることもあります。自己判断は避けましょう。

実際に来店されたお客さまの例

店頭の看板を見て「頻尿の症状があるので、漢方薬はありませんか」と相談に来られた方がいらっしゃいました。詳しくお話をうかがうと、糖尿病で通院していたものの、約1年前から自己判断で通院をやめていたとのこと。

頻尿という症状だけでは原因を判断できません。糖尿病の治療が中断されていたこともあり、まずは医療機関での受診をおすすめしました。

漢方薬局では、状況により医療機関での診察や検査を優先していただく場合があります。

自己判断で通院や服薬を中止しない

糖尿病や高血圧などは、自覚症状が少ないまま経過することがあります。症状が落ち着いたと思えても、服薬を続けてきた結果かもしれませんよね。

自己判断で通院や服薬を中止すると、それまで保たれていた健康が崩れてしまう恐れがあります。治療を続けるかどうかはご自身だけで判断せず、主治医へ相談することを強くおすすめします。

受診後の漢方相談

漢方薬局では、病気の診断や検査はできません。医療機関で診察を受け、検査結果がわかっていると、スムーズに漢方相談が進められます。

服用中の薬・病歴・自覚症状・生活習慣など、日々の状態もうかがいます。会話のなかから体質が見えてきて、ようやく選薬できるようになるんですね。

腎機能低下の段階によっては、生薬の選びかたに配慮が必要なものもあります。漢方薬の服用に関しては、必ず薬剤師に相談してください。

漢方相談を有意義にする3つの準備

手元にある情報をまとめておくと、相談の時間を有意義に使いやすくなります。3つの準備をしておくといいでしょう。

健康診断と検査の結果

健康診断の結果や、医療機関で受けた検査結果をお持ちください。できれば「異常あり」と書かれた通知だけでなく、検査数値が記載された結果表をお願いします。過去の結果が残っている場合は数値の変化もわかりますので、お持ちいただくと参考になります。

どの用紙を持って行けばいいかわからない場合は、手元にある検査資料をまとめてお持ちいただいて構いません。

服用中の薬とお薬手帳

現在服用しているお薬がある場合はお伝えください。お薬手帳を持ってきていただくと薬歴がわかり助かります。

市販薬・サプリメント・健康食品などの利用状況もお聞きしています。サプリメントや健康食品も、漢方薬との相性があります。腎機能が低下している場合はより慎重な判断が必要ですので、必ずお伝えください。

気になる症状をメモ

相談の場では伝え忘れもあり得るので、気づいたことや聞きたいことをメモしておくと安心です。漢方薬局からお聞きしたい内容の例をあげておきましょう。

  • 診断名:慢性腎臓病(CKD)・糖尿病性腎症・慢性糸球体腎炎など診断の有無
  • 腎機能のステージ:ステージ1〜5のどの段階に該当するか
  • 主治医からの説明:「このままだと透析になるかも」と言われたなどの状況や、今後の治療について
  • 食事制限の内容:たんぱく制限・塩分制限・カリウム制限など、主治医や管理栄養士から指示されている内容
  • 自覚症状:むくみ・尿の状態・疲労感の程度・その他の症状

他にも冷えの有無や睡眠の状態など、思いつく範囲でメモしておくと、相談時の手がかりになります。

ひとりで判断せず相談を

健康診断で腎機能の低下を指摘されると不安になると思います。世の中には情報が溢れていますが、調べるほど迷ってしまうこともあるでしょう。

大切なのは、症状や数値だけを見てひとりで判断しないこと。周囲の雑音に惑わされず、医師・薬剤師・管理栄養士など専門家に相談することです。

漢方相談では、健康診断や検査結果を確認したうえで、最適な方法を考えていきます。不安や気になっていることを一緒に整理していきましょう。

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