
健康診断の結果で思わず目が止まったLDLコレステロールの数値。大きな問題がなかったひとほど、戸惑いや不安を抱きやすいものです。
食生活が大きく乱れたわけでもなく、体重が急に増えたわけでもない。自覚はないのに数値だけが変わると「病気なのでは」と考えてしまいますよね。
更年期に起きやすい身体の変化を整理しながら、LDLコレステロールの数値とどのように向き合えばよいのかを考えてみましょう。
更年期にLDLコレステロールが上がる状態とは

自覚症状がないまま検査結果だけが変わると、不安は大きくなります。LDLコレステロールの役割と、更年期との関係を整理してみましょう。
LDLコレステロールの基本的な役割
LDLコレステロールは、細胞膜の構成やホルモンの合成など、身体にとって必要な存在です。しかし増えすぎると血管の内側にたまりやすくなり、動脈硬化を引き起こすリスクが高くなるので、健康診断では注意が向けられるのです。悪玉コレステロールとも呼ばれていますね。
一般的な健康診断では、LDLコレステロールの基準値は140mg/dL未満とされています。この数値を超えると「高LDLコレステロール血症」と判断される場合があります。
更年期に起きる身体の変化
更年期は、閉経をはさんだ前後およそ10年ほどの時期を指します。40代後半から50代にかけて、身体の内側ではさまざまな変化が同時に起こるのです。
ほてり・疲れやすさ・気分の揺らぎなど、症状が出やすいひともいれば、目立った不調を感じにくいひともいます。個々の自律神経の状態・体質・環境・健康状態などが複合的に作用し、更年期の不調の出方に差が生じるのです。
感じかたに個人差があるのも、更年期の特徴です。以下のページも参考にしてみてください。
更年期障害のサインを見逃さない! セルフチェックしてみましょう
エストロゲン減少と脂質バランスの関係
女性ホルモンのひとつであるエストロゲンは、脂質の流れを整える調整役のような存在です。LDLコレステロールが増えすぎないよう、身体の外へ出す流れを支えています。
更年期に入りエストロゲンが減ってくると調整役の働きが弱まり、LDLコレステロールが血液中に残りやすくなるんですね。身体の仕組みが切り替わる時期だからこそ起こりやすい変化です。
更年期にLDLコレステロールが上がりやすくなる主な原因

数値の変化は、ひとつの理由だけで起きるものではありません。更年期には、身体の内側でいくつもの変化が同時に重なります。背景をひとつずつ整理してみましょう。
ホルモンバランスの変化による影響
エストロゲンには以下のような働きがあります。
- 脂質代謝の調整
- コレステロールの管理
- 食欲の調整
エストロゲンの分泌が低下すると、脂質を処理する流れや体内の巡りがゆるやかに変化します。その結果、LDLコレステロールが血液中に残りやすくなるのです。
生活習慣を大きく変えていなくても若いころと同じ反応が得られなくなるのは、身体の仕組みが切り替わる時期に入ったためなんですね。年齢とともに起こる自然な変化といえるでしょう。
生活習慣と日常の積み重ね
更年期は仕事や家族のことで忙しくなる時期と重なりやすく、自分のことが後回しになりがちです。外食や簡単な食事が続いたり、疲れから運動の時間が減ったりすることもあるでしょう。知らないうちに脂質や糖質の摂取量が増える原因なんですね。
ひとつひとつは小さな変化でも、日々の積み重ねが数値に影響する場合があるのです。
加齢と内臓脂肪の関係
年齢とともに基礎代謝は緩やかに下がります。体重が大きく変わらなくても、脂肪のつきかたが変わりやすくなります。
更年期以降は内臓脂肪が増えやすくなるので、LDLコレステロールの数値に影響することがあるのです。見た目では変化が分かりにくくても、身体の内側では少しずつバランスが変わっているんですね。
数値に振り回されず今の身体にできることを

健康診断の数値は、身体から届いたひとつのサインです。無視すれば不安が残りやすく、怖がるだけではせっかくのサインを活かせません。
今の身体に何が起きているのかを知り、できることを選びましょう。積み重ねが安心につながります。
数値だけを見ず身体全体の変化に目を向ける
LDLコレステロールの数値は、一部分を切り取った情報です。健康診断では、HDLコレステロールとのバランスも大切な視点なのです。
HDLコレステロールは、血管壁にたまった余分なコレステロールを回収してくれるので、善玉コレステロールと呼ばれています。LDLの数値が少し高くても、HDLが十分あればあまり怖がる必要はないんですね。
食事で揚げ物を控えめにしたり、青魚・オリーブ油・えごま油を使うなど、意識してみてください。
更年期はさまざまな変化が重なりやすい時期です。
- 最近よく眠れているか
- 以前より疲れが残りやすくなっていないか
- ちょっとしたことで気分が揺れやすくなっていないか
などの感覚も、今の状態を知る大切な手がかりになります。
必要以上に不安をふくらませないため、数値だけで身体を判断しない視点も大切なのです。
生活のなかで見直したい小さな習慣
食事や運動を一気に改善しなくても大丈夫。更年期は無理すると続きにくく、かえって負担になることもあります。たとえば以下の点を振り返ってみましょう。
- 夜遅い食事が続いていないか
- 間食が増えていないか
- 身体を動かす時間が減っていないか
できていないことを探すのではなく、今の生活で少し意識できそうなポイントを拾い上げていきましょう。
漢方の視点で身体のバランスを見直す
東洋医学では、数値だけを切り離して身体を判断しません。更年期は3つのバランスが揺らぎやすい時期だと考えます。
- 腎(じん):年齢とともに弱りやすい土台
- 肝(かん):巡りや気分に関わる働き
- 血(けつ):栄養や潤いの要素
LDLコレステロールの数値も、更年期の変化のなかで表れている場合があるんですね。
漢方相談では検査値だけでなく、日々の体調・睡眠や食事の様子・生活リズムなどを伺いながら、今の状態を整理していきます。
何から考えればいいのかわからない段階でも大丈夫です。むしろ身体を全体的に見直すきっかけになるかもしれません。
数値が気になったときこそ身体の声を聞くタイミング

健康診断でLDLコレステロールの数値が変わると、どうしても不安が先に立ちますね。
更年期は身体の仕組みが切り替わる時期です。ホルモンの変化・代謝の変化・生活環境の変化がなどが重なり、数値として表れやすくなる時期でもあります。大切なのは数値だけ見て自分を責めないことと、ひとりで抱え込まないことなのです。
漢方の考えかたでは、身体を部分で切り分けず、今どんな変化が重なっているのかを全体で捉えます。更年期の身体はこれまでとは違うリズムで動いています。揺らぎを理解し整理するだけでも、気持ちが落ち着くことがありますよ。
数値の変化は、身体と向き合うきっかけ。理解できないままでいるのがいちばん不安です。どうぞご相談くださいね。




