発達特性のあるお子さんは、気持ちの切り替えが苦手だったり、周囲の刺激に敏感だったりと、日常生活でさまざまな困りごとを抱える場合がありますね。親御さんがさまざまな思いを抱えていらっしゃるのは、漢方相談でも伝わってきます。

日常で気になるお子さんの様子や相談先、漢方薬局でお手伝いできることについて書きました。

お子さんの様子が気になっていませんか?

発達特性とは、ものごとの感じかた・考えかた・行動などに見られる、そのひとならではの特徴です。ADHD(注意欠如・多動症)やASD(自閉スペクトラム症)などが知られていますが、特性の現れかたは一人ひとり異なります。

落ち着かない・じっとしていられない

  • 食事中に何度も席を立つ
  • 順番を待つのが苦手
  • 話の途中で割り込んでしまう

何度注意しても同じことを繰り返すと困ってしまいますね。ただ、お子さんも「いうことを聞かない」のではなく、思うように行動を調整できず困っているのかもしれません。

突然のかんしゃく・強いこだわり

  • 思い通りにならないとかんしゃくを起こす
  • 気持ちの切り替えに時間がかかる
  • マイルール(物の配置・作業のやりかた・道順など)に固執する

大人には小さなできごとに見えても、お子さんにとっては大きな負担になっている場合があるようです。なにがきっかけになっているのかわからず、対応に悩むこともあるのではないでしょうか。

不安が強い・眠れない

  • 大きな音や明るい光を嫌がる
  • 人混みやにぎやかな場所が苦手
  • 寝つきが悪い・夜中に何度も目を覚ます

音・光・衣服の肌触りなど、周囲の刺激に敏感なお子さんもいます。園や学校では頑張って過ごしても、帰宅後はぐったり疲れてしまうこともあるかもしれません。不安や緊張から眠れない日が続くと、お子さんの身体の調子も心配になりますね。

※落ち着きのなさやかんしゃく、睡眠の問題があるからといって、必ずしも発達特性があるとは限りません。発達特性は誰にでも見られる個人差のひとつですが、特性によって日常生活に大きな困難が生じる場合もあります。気になる様子が続くときは、専門機関への相談も検討してください。

困りごとをひとりで抱え込まないために

お子さんへの対応で迷いや不安もあるでしょう。困りごとは、家庭だけで解決しようと思うと行き詰まることがあります。相談できる場所や、日常生活のなかで目を向けたいことをご紹介します。

医療機関や専門機関に相談する

発達特性について気になることがあれば、かかりつけ医や地域の発達相談窓口などに相談できます。園や学校の先生に、お子さんの様子を聞いてみるのもよいでしょう。必要に応じて、医療機関での診察や発達支援などにつながる場合もあります。

お子さんの困りごとは一人ひとり異なるため、専門家と相談しながら、その子に合った支援を考えていくことが大切です。

普段の生活にも目を向ける

目の前の気になる行動に意識が向きがちですが、普段の生活リズムはどうでしょうか。寝不足が続いていないか、食事はとれているか、便秘などの不調はないかといった身体の様子も気になるところです。

たとえば、帰宅後や夕方など、疲れがたまる時間帯に機嫌が悪くなるお子さんもいます。反対に、ゆっくり休んだあとは穏やかに過ごせるなど、日によって違いが見られるかもしれません。

どんなときに疲れやすく、どんなときに落ち着いて過ごせるのか。普段の様子を振り返ってみると、今まで気づかなかったことが見えてくるかもしれません。相談先でお子さんの様子を伝える際の手がかりにもなるでしょう。

親御さん自身の負担も見過ごさない

毎日お子さんと向き合うなかで、疲れがたまったり、つい強く叱ってしまうこともあるかもしれませんね。周囲に理解してもらえず、ひとりで悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

地域の相談窓口など、話を聞いてもらえる場所を頼ってみてください。同じ立場の親御さんと話すことで、気持ちが軽くなることもあるでしょう。

お子さんのことだけでなく、親御さん自身の疲れや不安についても、安心して話せる場所を見つけてほしいと思います。

発達特性のあるお子さんの漢方相談

お子さんの落ち着きのなさ・かんしゃく、睡眠などについてご相談を受けることがあります。漢方薬は発達特性そのものを治すものではありませんが、お子さんが抱える症状に対して、漢方薬による対応を検討する場合があります。当店が漢方相談で大切にしていることをご紹介しましょう。

症状だけでなく体質も重視する

漢方では、同じ症状が現れていても、体質や心身の状態によって捉えかたが異なります。

たとえばかんしゃくを起こすお子さんでも、寝不足が続いている場合と緊張や不安が強い場合では、注目する点が違ってくるんですね。

東洋医学には、心と身体の働きを支える「気」という考えかたがあります。気の巡りが滞った状態を気滞(きたい)と呼び、イライラや気分の不安定さなどと関連づけて捉えることもあります。

発達特性そのものを気の乱れで説明するわけではありません。漢方では、睡眠・食欲・便通・生活習慣なども確認しながら、お子さんの心身の状態を総合的にみていきます。

子どもへの漢方薬の使用と医療機関との併用

漢方薬にはお子さんに使用されるものもあり、症状の緩和を目的として用いられます。

  • 抑肝散(よくかんさん)
  • 甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)
  • 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

上記はいずれも小児の症状に対して用いられることがある漢方薬ですが、すべてのお子さんに適しているわけではありません。症状や体質を踏まえて他の漢方薬を選ぶこともありますし、偏食で栄養状態が悪いケースではサプリメントをおすすめする場合もあります。

薬の量については体重を参考にしたり、年齢による目安や製品ごとの用法・用量などを踏まえて判断しています。

また、医療機関での治療と漢方薬が併用されることもありますが、漢方薬にも副作用や飲み合わせの注意点があるため、主治医や薬剤師とよく相談しましょう。

漢方相談では何を伝えたらいい?

漢方相談では、お子さんの普段の様子についてできるだけ詳しくお話を伺います。特にお聞きしたいのは、次の3つです。

  1. 困っている症状と起こりやすい場面
    気になる様子と起こりやすい時間帯(落ち着きのなさ・かんしゃく・不安など)
  2. 身体の状態
    寝つき・目覚め・偏食の有無・便秘や下痢の有無・普段の生活習慣など
  3. 医療機関での診断や治療の状況
    現在受けている治療・服用中の薬・これまでの経過など

最初からすべてを整理しておかなくてもだいじょうぶ。お話ししているうちに日常の小さな気づきを思い出して、お話ししてくださるお客さまがほとんどです。

お子さんだけでなくご自身も大切に

毎日の対応に追われていると、気になる言動ばかりに目が向いてしまうかもしれません。昨日はうまくいかなかったことが、今日はすんなりできる。反対に、昨日できたことが今日は難しい。お子さんの調子にも波があるでしょう。

親御さんにも、疲れがたまったり気持ちに余裕がなくなったりする日があると思います。お子さんを優先するあまり、ご自身の不調を後回しにしていませんか。

お子さんの困りごとはもちろん、親御さんのお気持ちにも耳を傾けたいと思っています。遠慮なさらず、日頃感じていることをお話しくださいね。親御さんご自身の心身も、どうぞ大切になさってください。

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