
暑い季節になると、冷やしたトマトやスイカがさっぱりしておいしいですね。夏野菜は水分を多く含み、ビタミンや食物繊維が豊富で、暑さによるダメージ軽減に役立つ食べものです。
しかし腎機能が低下している場合は、食べかたに注意が必要になるケースがあります。血液検査でカリウムの値を指摘され、驚いて相談に来られるお客さまもいらっしゃいました。
必要以上に怖がらなくてもよいのですが、大切なのは、今の腎臓の状態に合わせて取り入れることなんですね。
夏野菜を食べるときの工夫をまとめました。
腎機能低下とカリウムの関係

一般的に夏野菜は身体によいとされていますが、腎臓の働きが低下すると、身体に負担をかける場合があります。夏野菜と腎機能の関係を確認してみましょう。
夏野菜に多く含まれるカリウムとは
日差しをたっぷり浴びて育った夏野菜には、身体によい栄養素がたくさん含まれています。
ポリフェノールなどの抗酸化物質は、酸化ストレスから身体を守る働きがあるとされています。カリウムには血圧を下げる効果があり、食物繊維は血糖コントロールやがんの抑制に役立つ可能性も指摘されています。
腎機能が低下しているひとに問題なのは、カリウムです。健康な腎臓であれば、食事から摂取した余分なカリウムは尿として排出されますが、腎機能が低下すると排泄機能が衰えるため、カリウムが体内に溜まりやすくなります。
高カリウム血症のリスク
血液中のカリウム濃度が高くなる状態が高カリウム血症です。高カリウム血症の原因は、腎臓からの排泄障害がもっとも一般的といわれています。
高カリウム血症は、軽度の場合は無症状であることが多いのですが、進行すると動悸・だるさ・筋力低下などの症状が現れてきます。
重症化すると不整脈からショック状態(血圧低下)を引き起こし、心停止に至ることがあるため、注意が必要なのです。
段階によって食事の注意点は変わる
腎機能が低下しているひと全員が、同じ制限を受けるわけではありません。
一般的に、慢性腎臓病のステージG3aまでは、カリウム制限は推奨されていません。腎機能の低下が軽度であれば、体内のカリウム調整機能がまだ十分働いています。
むしろ、カリウムの血圧を下げる効果を利用して、腎臓保護に役立つ可能性もあるのです。「腎機能低下=夏野菜禁止」ではなく、自分の状態に合わせることが大切なんですね。
※一般的な基準です。降圧薬の服用状況や合併症の有無などにより、カリウム制限の必要性が違ってきます。主治医や管理栄養士の指導のもと、食事管理してください。
夏に増える食習慣の落とし穴

健康のために野菜を積極的に食べているひと、そもそも野菜好きのひともいるでしょう。しかし「身体によいからたくさん食べても大丈夫」という思い込みが、思わぬ落とし穴になる場合があります。
「身体によいから」の思い込み
健康への意識が高いひとほど、野菜を積極的に取り入れているものです。たとえば以下のような習慣はありませんか?
- 毎日トマトを1個食べる
- 食欲がないときはスイカやメロンで済ませている
- 野菜不足なので野菜ジュースを飲んでいる
健康であれば問題なくても、腎機能低下の度合いと血清カリウム値によっては、身体に負担をかけているかもしれません。
野菜ジュースやスムージーが落とし穴になる理由
野菜ジュースやスムージーは、手軽に栄養を補給できて便利ですね。忙しい朝や食欲がないときに利用するひともいるでしょう。
しかし複数の野菜や果物を使うため、コップ1杯でもカリウム量が多くなりやすいのです。手軽に飲めるため、一度にたくさん摂取しやすい点にも注意が必要です。
市販品には塩分や糖分が多く含まれるものもあり、高血圧や糖尿病を合併している場合は影響があるかもしれません。
腎機能によって必要な注意は違う
夏野菜や果物をどの程度気をつけるべきかは、腎機能の状態によって変わります。腎機能の低下が軽度であれば、過度に心配する必要がない場合もあります。一方で、腎機能低下が進行しているひと、血液中のカリウム値が高いひとは注意が必要です。
同じ慢性腎臓病でも、必要な食事管理は一人ひとり異なるんですね。
腎機能に合わせた食べかたの工夫

「好きな野菜が食べられない」と受け止めてしまうと、食事の楽しみが失われてしまいます。身体の状態に合わせて、工夫しながら取り入れましょう。
主治医や管理栄養士の指示が基準
食事管理でもっとも大切なのは、主治医や管理栄養士の指導を基準にすることです。同じ慢性腎臓病でも、病状や服用している薬によって注意点は異なります。
「友人は食べても大丈夫だったから」
「ネットに書いてあったから」
という理由だけで食事内容を変えるのはおすすめできません。血液検査の結果を確認し、自分にカリウム制限が必要なのかを把握しておきましょう。
カリウムを減らす調理法を活用する
野菜や果物をまったく食べないでいると、食物繊維やビタミンなどが不足する恐れがあります。カリウム制限を受けているひとは、調理方法を意識してみましょう。
工夫次第でカリウムの摂取量が抑えやすくなります。カリウムの水に溶けやすい性質を利用した調理方法が効果的です。
- 茹でこぼし:食材を小さく切って切断面を増やし、カリウムが溶け出しやすくする
- 水にさらす:切った野菜をたっぷりの水に30分以上さらす
- 茹でこぼし+2次調理:下ゆでした食材を炒めたり煮たりすると、さらにカリウムを減らしやすい
下準備に電子レンジや圧力鍋を使う調理方法がありますが、カリウムを減らす効果が低いので、茹でこぼしがおすすめです。下ゆでにはたっぷりのお湯を使いましょう。ゆで汁にはカリウムが含まれているので、再利用は避けてください。
また、低ナトリウム塩や薄口しょうゆにはカリウムが多く含まれていますので、使用を控えましょう。
水分を調整する
夏野菜や果物は水分補給にも役立ちますが、透析治療中のひとや水分制限が必要なひとは注意しなければなりません。
夏野菜は水分を多く含むため、水分としてカウントする必要があります。きゅうり・トマト・スイカ・メロンなどは水分含有量が高いので、摂取量を把握しておきましょう。
大まかな目安を示しておきますので、参考にしてください。
- きゅうり1本(約100g)→ 水分約100mL(コップ半分程度)
- トマト中1個(約150g)→ 水分約140mL(コップ7分目程度)
- スイカ1切れ(約200g)→ 水分約180mL(コップ1杯弱)
- メロン1/8個(約200g)→ 水分約180mL(コップ1杯弱)
量や頻度を調整しながら、夏野菜を楽しめるといいですね。
夏野菜は工夫して楽しんで!

腎機能が低下しているひとは、カリウムの摂取制限があるかもしれません。ただ多くの場合、状態に合った食べかたをすれば夏野菜も楽しめますよ。
自己判断で野菜を極端に制限すると、ビタミンや食物繊維が不足し、かえって健康に影響することもあります。腎機能の状態に加え、血液中のカリウム値や服用している薬により、必要な食事管理は一人ひとり異なります。まずはご自身の状態を把握しましょう。
当店では、検査結果や生活習慣、お困りごとをうかがいながら、身体の状態に合わせた食事や生活習慣について一緒に考えています。
夏野菜は、一律に制限するものではありません。身体の状態に合わせて上手に付き合っていくことが大切です。正しい知識を身につけて、夏の食卓を楽しみましょう。




