腎臓は、身体の水分とミネラルのバランスを整える臓器です。腎臓の働きと深く関わるのが塩。塩は身体にとって必要ですが、過剰に摂取すると腎臓に負担をかけ、高血圧や慢性腎臓病のリスクを高めてしまいます。

東洋医学で塩は「腎を補う味」とされています。摂りかたによって身体によい影響を与えることもあれば、負担をかけることもあるんですね。腎をいたわる塩とのつき合いかたを整理してみました。

腎と塩の関係とは? 東洋医学が大切にしてきた「味」と「巡り」

腎臓に関する数値を指摘されると、真っ先に気になるのが塩分ではないでしょうか。塩は単なる調味料ではなく、身体の巡りと深く関わっています。

「鹹味(かんみ)」が腎に対応する

東洋医学には五味(ごみ)という考え方があります。「五つの味がそれぞれ特定の臓と関係する」という概念です。

  • =酸味(さんみ)
  • =苦味(くみ)
  • =甘味(かんみ)
  • =辛味(しんみ)
  • =鹹味(かんみ・塩辛い味)

腎に対応する味が鹹味で「引き締める性質」や「下に降ろす性質」があると考えられています。

〈引き締める性質について〉
鹹味を摂取することで体内の余分な水分を引き締めるとされる。むくみやだるさを感じるときに水分の偏りを調整する。

〈下に降ろす性質について〉
鹹味には下降作用があり、気を下に向かわせる働きがある。体内のエネルギーや水分が上に昇りすぎているとき(のぼせやほてりを感じるときなど)に役立つ。


腎は、下半身の健康や水分代謝と関係が深い臓です。塩の性質は、腎の働きと方向性が重なる部分を持っているのです。

適量の塩が支える水分とミネラルのバランス

ナトリウムは、身体の水分量を調整するために欠かせないミネラルです。腎は余分な水分やミネラルを尿として排出し、必要な分を残す役割を担いますが、塩分が極端に少ないとうまく調整できないのです。適切なナトリウムの摂取は、身体の機能を正常に保つため必要不可欠なんですね。

塩味は腎を養う重要な要素。塩を「控えるべきもの」と一方的に見るのではなく、量や状態、他の味とのバランスを重視します。

摂り過ぎた塩は巡りを滞らせやすい

一方で、塩分が多すぎると水分が身体にとどまりやすくなり、巡りが悪い状態に。体内の水分バランスが崩れ、むくみや重だるさを感じることもあります。なぜ塩分過多で巡りが悪くなるのでしょうか。

  • 身体が水分を保持しようとする
  • 血圧が上昇し血管に負担をかける
  • 腎臓のナトリウム排出処理が追いつかなくなる

「巡りがよい」とは、気血水が滞りなく流れる状態を指します。3つの要素がバランスよく過不足なく巡っているのが、健康の基本なのです。

塩分が腎の悩みにつながる背景

「減塩しなければ」と思うほど、食事が味気なく感じられますね。塩分摂取に関する悩みは、現代の生活環境が大きく影響しています。

ナトリウム過多になりやすい食環境

加工食品・惣菜・外食などには、味を安定させるための塩分が多く使われます。1品で1日の塩分摂取目標量(男性:7.5g、女性:6.5g)を超えてしまうこともあるのです。ラーメン一杯には6g以上の塩分が含まれていることが多く、濃厚なスープを使用したラーメンでは8gを超えることも。

自炊していても、調味料を重ねることで塩分量は増えやすくなります。毎日の積み重ねですから、摂取量を把握しにくいのが難点です。

寒さと運動不足で排出が追いつきにくい

寒い季節は汗をかく量が減り、尿量も少なくなりがちです。塩分や水分が身体に残りやすい状態なんですね。

寒さが血行不良を引き起こし、身体が冷えるとむくみやすくなります。運動不足になると、体内の塩分を排出する機能が低下し、余分な塩分が溜まりやすいのです。温かい食べもので身体を温めるのはいいことですが、塩分を多く含むメニューが増えがちです。冬は無意識のうちに塩分摂取量が増えてしまう季節なのです。

情報が多すぎて迷いが増える

減塩は大切ですが、ミネラル補給も重要です。どちらも間違いではないため、判断に迷いやすくなりますね。情報を得るために調べていくと、かえって迷いが生じることもあるでしょう。

調べるほど不安が強くなり、食事そのものが負担に感じられるひともいます。健康を目指して頑張っているのに、ストレスを強めてしまったら意味がありません。食事を楽しむのも健康維持には欠かせない要素なのです。

塩とのつき合いかたで腎を守る

「塩を摂るか? 控えるか?」の二択では、気持ちが楽になりませんね。塩の選びかたと使いかたのポイントをまとめます。

塩を見分けるにはココをチェック!

塩には大きく分けて精製塩天然塩があり、製法・成分・味わいにおいて大きな違いがあります。

精製塩

〈製法〉海水から塩化ナトリウムを99%以上の純度で取り出すために、工業的な方法(イオン交換膜法など)を用いて製造される。この過程で、ミネラル成分がほとんど除去される。

〈特徴〉味がストレートでしょっぱさが強く、サラサラした質感。食卓塩として広く流通しており、安価で使いやすいが、ミネラルが不足している。

天然塩

〈製法〉海水や岩塩を原料に、伝統的な方法(天日干しや釜炊きなど)で製造する。塩化ナトリウムの含有量は80%程度で、その他のミネラル(カリウム・マグネシウム・カルシウムなど)が豊富に含まれている。

〈特徴〉まろやかで深みのある味わいが料理の旨みを引き立てる。素材の味を活かしたい料理に向く。

購入時は、成分表示原材料欄を確認しましょう。「海水・天日・平釜」などの記載があるかどうかが、ひとつの目安です。ただし、天然塩にミネラルが豊富に含まれているとはいえ、摂取しすぎは禁物です。

満足感が出やすい味付けの工夫

塩を控える工夫にはさまざまな方法があります。いくつかのアイデアをご紹介しましょう。

  • ハーブ・スパイスの活用:バジル・オレガノ・タイム・ローズマリーなどのハーブや、クミン・パプリカなど。豊かな風味が加わる
  • 酸味を加える:レモン・酢などの酸味は、塩味を引き立てる効果がある
  • 香味野菜を使う:にんにく・しょうが・ねぎなど。塩が少量でもおいしさを感じられる
  • だしを利用する:昆布・煮干しの旨みを活用。塩分を控えても満足感のある味わいに
  • 食材の旨みを引き出す:具だくさんスープ・煮物など。たくさんの食材から出る旨みがおいしい
  • 減塩調味料の活用:塩分を控えつつ味がしっかり感じられる

舌は数週間かけて薄味に慣れていきます。調理するとき塩分を少し減らし、新しい味に慣れたらさらに減らす……の繰り返しで、無理なく薄味に移行できるでしょう。ゆったり調整してみてくださいね。

巡りを意識した生活で塩の負担を残しにくくする

塩分は、摂った瞬間に身体へ負担をかけるわけではありません。排出が追いつかず、塩分が体内にとどまる状態が問題なのです。腎の働きが鈍ると水分や塩分が巡らず、むくみや重だるさにつながりやすくなります。

巡りを支える基本は冷やさないこと。白湯や温かいお茶など、身体を温める飲みものを選びましょう。寒い時期は3つの首(首・手首・足首)をガードするなど、外側からの保温も大切です。

軽い運動はおすすめですが、特別なことは必要ありません。長時間の激しい運動より、こまめに身体を動かすほうが巡りには向きます。買い物のついでに少し歩く、家のなかで身体を伸ばすなど、日常の動きで十分なんですね。

「減塩」と聞くと食事だけに意識が集中しがちですが、身体を温めたり動かしたりすることも含めて整えていきましょう。

塩分を排出しやすい身体作りを

塩は身体に欠かせない命の味です。塩分を極端に減らす必要はありませんが、摂りすぎるのも問題。大切なのはよい塩を適切な量で使う意識です。精製塩を天然塩に変えるだけでもミネラル摂取ができますので、難しく考えすぎず塩分調整を始めてみてください。

不安が強くなると極端な制限に向かいがちですが、減塩だけを考えるとイヤになってしまいますよね。塩分を排出しやすい生活習慣もあわせて実践すると、トータルの健康を目指していることになりますよ。「腎をいたわる=日々の小さな選択の積み重ね」なんですね。

身体の声を聞きながら、塩とのちょうどよい関係を見つけていきましょう。

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