歯周病と早産・低出生体重児の意外な関係

「妊娠中は歯がボロボロになる」など、妊娠にまつわる気になるワードを聞いたことはありませんか？

「妊娠」と「歯がボロボロ」に直接の因果関係はありません。妊娠中は口腔ケアが不足になりがちで虫歯や歯肉炎にかかりやすいため、風説が流れたのかもしれません。

近年、歯周病が早産や低出生体重児の原因となることがわかってきました。妊娠中の口腔ケアはつらいときもありますが、工夫して乗り越えたいものですね。

妊娠中の歯にまつわる誤解

妊娠中は情報に敏感になりますね。なかには都市伝説めいたものや誤報もあります。妊娠中の歯にまつわる誤解はいくつかありますよ。

お腹の赤ちゃんへの栄養はお母さんが送っていますが、歯からカルシウムが流れ出すわけではありません。

お母さんが食べたものから胎盤を通して赤ちゃんに運ばれます。

妊娠するとホルモンバランスが変化するため歯垢がつきやすくなり、妊娠性歯肉炎になることがあります。つわりで歯磨きがおろそかになるので汚れが落としにくくなるんですね。

酸っぱいものが食べたくなる妊婦さんも多いですね。口内が酸性になるとカルシウムが損なわれ、虫歯になりやすくなります。

口腔ケアが行き届かない妊娠中は、異常を感じなくとも検診してもらうとよいですね。つわりが落ち着く妊娠中期ころをおすすめします。必ず妊娠中であることを告げましょう。レントゲン撮影なども避けてもらえます。

妊娠にまつわる言い伝えや誤報がたくさんあるのは、赤ちゃんの誕生を心待ちにし、大切に思う証でもありますね。正しい情報を得るのとは別に、雑学として楽しんでみてはいかがでしょうか。

歯周病と出産は関係なさそうに思えます。しかし意外なことに、全身の病気と関わりがあることが近年わかってきたのです。

妊娠37週から42週未満に出産することを「正期産」と呼びます。この期間に入ると赤ちゃんはいつ生まれても良い状態まで成長しているんですね。

「早産」は妊娠22週から37週未満の出産を指し、「低出生体重児」は2,500g未満で生まれた新生児のこと。赤ちゃんは未熟な状態で生まれてきます。

歯周病は全身と関わりがあることがわかり、出産も例外ではありません。認知症・糖尿病・心疾患など、重大な病気にもつながります。

早産や低出生体重児は、歯周病の炎症物質が原因です。炎症物質が子宮の収縮を促すと考えられています。

早産の原因はもちろん他にもありますが、自分でできる予防のひとつとして口腔ケアが大切なのです。

つわり中は口のなかに歯ブラシを入れるのさえ気持ち悪いですね。体調を見計らって歯磨きしましょう。1日1回でも構いません。

歯ブラシのヘッドが小さいものだと口に入れるとき抵抗が少ないようです。タフトブラシ（毛束が小さくひとつになったもの）や子ども用歯ブラシを試してみてくださいね。

妊娠中は味や香りに敏感になるとき。無理に歯磨き粉を使わなくてもだいじょうぶですよ。

汚れがたまりやすいのは歯間や歯と歯茎の境目あたり。ポイントを絞って歯ブラシを小さく動かしてください。

歯磨きできないときはぶくぶくうがいでOKです。デンタルリンスが使えればなおよいのですが、味が受け付けないなら水でだいじょうぶ。

嘔吐のあとは口内が酸性になり虫歯の原因になりますので、よく口をすすぎましょう。

ガムが噛めれば歯磨きの代用になりますが、選ぶときは注意してくださいね。

妊娠中の虫歯や歯肉炎は、ケア不足により口腔内の細菌が増えるのが原因です。しかし妊娠中の歯磨きはつらい時期がありますね。

加えて、口内が酸性になりやすい・栄養バランスが崩れるなどの理由で、妊娠中は歯や歯茎への影響が大きいのです。

歯磨きをしっかりしたいところですが、体調が落ち着いているときにポイント磨きするだけでもいいですし、ぶくぶくうがいするだけでもいいんですよ。

歯周病は早産や低出生体重児の原因になることがわかりましたが、重く受け止めすぎず、できるときにケアしましょう。

情報収集で気をつけたいのはインターネットや周囲のアドバイスです。インターネット上の口コミは間違えているものもありますし、知人が善意でしてくれるアドバイスも同様です。

妊娠中は赤ちゃんの健康に一番注意が向くので、誤った情報も信じやすくなるのですね。迷ったら信頼できる専門家の意見を聞いてくださいね。

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