「漢方薬を試してみたいけれど、選びかたがわからない」
「漢方薬局とドラッグストアの違いってなんだろう」

漢方薬に興味を持ったとき、最初に迷うポイントではないでしょうか。

ドラッグストアで購入できる市販の漢方薬にも役割があります。一方、漢方薬局では身体全体の状態や体質をもとに漢方薬を選んでいきます。

「今の自分にはどちらが合っているのか」と迷ったら、参考にしてくださいね。

市販薬と漢方相談では何が違う?

市販薬と漢方相談では、成分量や品目数のほか「選びかた」が異なります。それぞれの特徴を知ることから始めましょう。

ドラッグストアは身近なセルフケア

現在はドラッグストアやインターネットでも、さまざまな漢方薬を購入できますね。

ドラッグストアで販売されている漢方薬は、多くのひとが購入しやすいように作られています。製品によっては、漢方薬局で取り扱うものより成分量が少なめになっているものもあるんですね。安全性を最優先しており、手に取りやすいメリットがあります。

風邪のひき始めや便秘、むくみなど、比較的症状が軽い場合は、市販薬が役立つこともあるでしょう。漢方薬を試してみたい方にとっても身近な選択肢といえます。

漢方相談では「証」をもとに漢方薬を選ぶ

漢方相談では、病名や症状だけで漢方薬を決めません。大切にしているのが証(しょう)の考えかたです。証とは、身体の状態や体質を総合的にとらえたものです。

冷えの症状を例にとってみましょう。

  • 手足だけが冷える
  • 身体全体が冷えやすい
  • 疲れやすさを伴う
  • ストレスが強く肩こりもある

同じ「冷え」の悩みを持っていても、合う漢方薬は違います。どんな体質なのか、どこがどんなふうに冷えるのか、他にも症状があるのか。生活の背景までお聞きして選薬するのです。

症状によって一律に決めるのではなく、一人ひとりに合った選択を考えていく点が特徴です。

市販薬と漢方相談は役割が違う

市販の漢方薬と漢方薬局での相談は「どちらが優れているか」ではなく、目的や場面によって役割が異なるものです。

市販薬は、症状がはっきりしていて短期間だけ使う場合に向いています。必要なときにすぐ買えますし、常備薬として保存しておけば、夜間や休日に体調を崩したときにも役立ちます。市販薬は手軽さと速さを活かしたセルフケアの手段といえるでしょう。

漢方相談の大きな特徴は、体質を重視することです。市販薬で効果を感じられなかったひとでも、薬剤師に相談して自分に合う漢方薬が見つかることもあります。

市販薬は手軽さを活かしたセルフケア、漢方相談は身体全体の状態をみながら整えていく考えかた。症状の程度や目的に合わせて使い分けるのが、漢方薬を効果的に活用するポイントです。

漢方薬選びで迷ってしまうのはなぜ?

市販の漢方薬を服用し始めたものの、変化を感じられなかったと相談に来られる方もいます。漢方薬選びが難しいのはなぜでしょうか。

同じ症状でも合う漢方薬が同じとは限らない

同じ症状であっても合う漢方薬がひとによって違うのは、漢方医学の基本的な考えかたです。

前述したように、漢方相談では証(体質や状態)に合わせて漢方薬を選びます。逆に、異なる病気でも体質や症状に共通点があれば、同じ漢方薬を使うこともあります。

西洋医学は症状や病気の原因に対して治療したり薬を処方したりしますが、漢方医学は「病気ではなく病人をみる」という考えかたなのです。

背景や生活習慣も大切な手がかり

漢方相談では現在の症状だけではなく、生活習慣や背景についても詳しくお聞きします。

  • 食欲はあるか
  • よく眠れているか
  • 汗をかきやすいか
  • 冷えを感じるか
  • 女性の場合は月経の様子

仕事内容・食事内容・運動習慣なども大切な情報です。「症状と関係あるのかな」と思えるようなことが、漢方薬選びの手がかりになることも多いんですね。

市販薬で改善しないときは選び直しが必要な場合も

市販の漢方薬を服用しても期待していたような変化がないと、漢方薬は効かないと感じてしまうかもしれません。改善しない主な理由としては以下が考えられます。

  • 量が少なかった
  • 選んだ漢方薬が体質と合っていなかった
  • 服用期間が足りなかった

指定通りの量を服用しても変化を感じない場合は、体質との相性だけでなく、製品による成分量や配合の違いが影響している可能性もあります。

生薬は天然由来のため、産地・採取時期・品質管理の違いなどによって、含まれる成分に差が生じることがあるのです。

漢方薬服用後の養生方法が適していない場合もあります。たとえば、よく知られている葛根湯(かっこんとう)は、風邪のひき始めによく用いられる漢方薬です。服用後は身体を冷やさずにゆっくり休むなど、養生も大切なんですね。

改善しないまま漠然と服用し続けるよりも、見直してみるとよいかもしれません。

漢方相談では自分の身体を知ることから

漢方相談は、漢方薬を選ぶことだけが目的ではありません。不調を整理していくと、身体の状態が見えてきます。身体を知ることは、自分に合った漢方薬を選ぶ第一歩でもあります。

不調の原因が見えてくる

漢方相談では現在悩んでいる症状だけでなく、不調が起こる背景も視野に入れて総合的に考えます。

たとえば、冷えと肩こりは別々の悩みに思えるかもしれませんが、血流の滞りなど同じ原因が関係しているかもしれません。不調同士のつながりを考えていくと、不調の背景が見えてくることも多いんですね。

原因がわかれば安心して次のステップに進めるでしょう。

無理なくできる養生を一緒に考える

漢方では漢方薬だけに頼るのではなく、毎日の暮らしも大切にします。生活習慣などの小さな積み重ねが身体の状態に影響するためです。

冷え性の方には温活の方法をお伝えしたり、疲れがとれない方には睡眠時間の確保や適度な運動をおすすめすることもあります。

養生は厳しいルールや我慢を強いるものではありません。心と身体の声に耳を傾け、心地よいと感じる習慣を生活に取り入れていくものなんですね。

無理なく続けられる方法を一緒に考えていくことも、漢方相談の大切な役割だと思っています。

身体の変化に合わせて見直していく

身体の状態はいつも同じではありません。体質は生まれながらの傾向もありますが、季節・年齢・生活環境の変化などにより変わっていくものです。現状を見極めながら、漢方薬や養生も調整していくのが大切なのです。

定期的に身体の状態を確認していくと、小さな変化にも気づきやすくなります。

身体の声を一緒に整理してみませんか

市販薬にも漢方相談にも、それぞれの役割があります。大切なのは「どちらが優れているか」ではなく、今の身体の状態や悩みに合った方法を選ぶことなんですね。

漢方薬は、誰かに合ったものが自分にも合うとは限りません。身体の声に耳を傾けながら、自分に合った選びかたを見つけていきたいですね。

ご自身の身体を知るのは健康への第一歩です。気になることがありましたら、お気軽にご相談くださいね。

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