
生理が近づくと体調や気持ちがゆらぐ……。同じ悩みが続くひともいれば、時期ごとに違う不調を感じるひともいます。身体は周期に合わせて働きを変えており、そのゆらぎが症状として表れると考えられています。
生理周期の特徴を知り、食べものの力を味方につけると「つらい時期」から「整える時間」へと捉え方が変わってきますよ。4つの周期に合わせた食養生の視点を、東洋医学の考えかたで紹介しましょう。
生理周期と身体の関係

なぜ生理前はイライラし、生理中は冷えやすいのでしょうか。身体が「気(き)」と「血(けつ)」を変化させているためなのです。自分の周期を知ると、必要なケアが見えてきます。
東洋医学でみる血と気のリズム
血が身体中に栄養を運ぶとき、気はその流れを動かしていると考えられています。生理周期を4つの時期に分けると、血が減る時期、増える時期、巡りが高まる時期、滞りやすい時期と、それぞれ特徴があるんですね。
身体が求めるものが変わるため、食べものや過ごしかたを変える工夫で快適に過ごせるようになってきます。
4つの周期と心身の特徴
生理周期の時期によって、心身に表れやすい特徴があります。
- 月経期(出血期):血が消耗して冷えやすい
- 卵胞期(生理後〜排卵前):血を補い身体を整える時期。肌や気分が明るくなりやすい
- 排卵期(中間期):気血がピークに近づき、少し熱がこもりやすい
- 黄体期(排卵後〜生理前):気の巡りが滞りやすく、むくみ・イライラ・胸の張りなどが出やすい
食べもので整える“周期ケア”
食べものの摂取は、身体を助ける手軽な方法です。生理周期のどこにいるかを意識すると、現状に合った食材が選びやすくなるのです。冷えやすい時期には温かい料理を、重だるさが気になる時期には巡りを促す食材を、という工夫ですね。
4つの周期の特徴を覚えておくと不調の背景も理解しやすくなり、自分に合ったケアが見つけやすくなります。
不調が起こる主な原因

生理に関する悩みが起きる背景には、冷え・ストレス・栄養不足など複数の要因が重なっていることがあります。身体の働きが弱ると、普段は気にならない小さな変化も大きな不調につながりやすくなるのです。以下に、主な原因をあげてみましょう。
冷えと血の不足
冬の寒さや忙しさによって血の巡りが悪くなると、生理痛や周期の乱れを感じやすくなります。冷え・寝不足・過労が続くと、身体を温める力も弱まってしまうのです。血が不足すると栄養が行き届きにくくなるので、ふらつき・肌の乾燥・気力の低下につながることも。
ちょっとした冷えの積み重ねが、生理前後のつらさに結びついているかもしれません。
気の停滞によるイライラやむくみ
黄体期は気の流れが停滞しやすく、感情の波や身体の重だるさが感じられる時期。ストレスを抱えていると、気力が湧かない・涙が出やすい・むくみが取れないなどの変化が出ることもあります。気がうまく巡らなくなると、胸の張り・お腹の張り・頭重感など詰まったような感覚を覚えるひともいます。
心と身体はつながっているため、感情の揺れも症状として表れやすくなるんですね。
甘いものや冷たいものの摂りすぎ
冷たいスイーツやカフェインの多い飲みものが続くと巡りが低下し、月経トラブルの一因に。温かい食事を意識し甘味を少し控えると、身体のリズムが整いやすくなります。胃腸が冷えると血の巡りも弱くなり、むくみ・だるさ・気力の低下につながることも。
とくに生理前は甘いものを欲しやすいため、無理なく調整したいですね。
生理周期別おすすめの食べもの

4つの時期を意識すると、選ぶ食材も変わります。足りないものを補い、滞りや熱を整える食べかたの一例です。
月経期(出血期)〜血を補い、冷えを防ぐ〜
温かいスープなどで血を養う意識を。身体を温め、痛みや疲れをいたわる気持ちで過ごしましょう。休むことも養生のひとつです。
〈おすすめの食材〉
- 黒豆
- なつめ
- ほうれん草
- 鶏レバー
卵胞期(生理後〜排卵前)〜血を増やして気分と肌を明るく〜
身体が栄養を吸収しやすい時期。食欲が戻ることが多いため、バランスのよい食生活が体調を整える力になります。
〈おすすめの食材〉
- にんじん
- クコの実
- 鮭
- たまご
- 小松菜
排卵期(中間期)〜巡りをよくしてストレスケア〜
巡りを助け、熱がこもりすぎないよう意識します。ストレスを抱えやすい時期なので、深呼吸や散歩も取り入れましょう。
〈おすすめの食材〉
- しそ
- セロリ
- いちご
- しじみ
- はとむぎ
黄体期(排卵後〜生理前)〜むくみと気の巡りを助ける〜
冷えやすいお腹を温めると、心身がホッと緩みます。黄体期は巡りを整える食材を選びましょう。
〈おすすめの食材〉
- さつまいも
- とうもろこし
- 山芋
- 柑橘類
- 黒ごま
身体を温め健康的な食生活を

女性の心身は周期ごとに変化します。身体が求める食材を摂取するのは、自分をいたわる第一歩なんですね。身体を温める、リラックスを心がけるなど、ケアにもいろいろありますが、食べもので整える方法も取り入れてみてください。
悩みが続くときは「生理だから」とあきらめず、漢方の視点で体質に合うケアを一緒に考えましょう。以下は、生理にまつわる相談でよく取り上げられる漢方薬です。
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
- 加味逍遙散(かみしょうようさん)
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
- 桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
- 温経湯(うんけいとう)
- 五苓散(ごれいさん)
これらは代表的な漢方薬ですが、症状や体質により合うものが違ってきます。薬剤師にご相談くださいね。





