妊活中は、排卵から着床までの一週間ほどを特別な期間と感じますね。「着床の妨げになるかもしれないから、動かないほうがいいのでは」と思い、極力安静にして過ごすひともいます。

しかし実際には、着床期に軽く運動しても妊娠の成否を左右するわけではありません。心配になるのは「赤ちゃんを迎えたい!」と心から願っているからなんですよね。

東洋医学と現代的な視点を交えながら、着床期の穏やかな過ごしかたを考えてみましょう。

着床期に運動してもいい?

着床期は、受精卵が子宮内膜に根を張る準備をしている大切な時期です。身体が繊細になる時期ではありますが、少し動いた程度で妊娠できなくなるわけではありません。運動の影響や注意点を整理しましょう。

着床期の身体のしくみを知る

着床は排卵の約1週間後に起こり、妊娠成立の第一歩といえます。この時期、黄体ホルモンが増えることで体温が上がり、眠気やだるさを感じやすくなります。

身体が守りモードに入るため無理は禁物ですが、日常的な動作や軽い運動が原因で着床が妨げられることはほとんどありません。

軽い運動は“気”の巡りを整える

東洋医学では、血や水の流れを支える「気(き)」の巡りを大切にします。

横になってばかりいると気が滞り、血流が悪くなることも。散歩や軽いストレッチなど、軽度から中程度の運動は血流を促し、体調を整えるのに役立ちます。日常生活の範囲内の動きで影響を受けるほど、身体は弱くつくられていません。

逆に、少しの動きでも不調を感じるときは身体が「休みたい」と伝えているサインです。身体の声に耳を傾けてください。

激しい運動は避けたほうが安心

一方で、ジャンプを伴う運動や長時間のランニングなど、高強度のトレーニングは避けたほうが無難です。過度な負荷はホルモンバランスを乱し、身体にストレスを与える可能性があります。

着床は繊細な生理的プロセスであり、外部からの強い刺激が影響するわけではありません。しかし過剰な運動はエネルギーを消耗させ、妊娠に必要な環境を整える妨げになる可能性があるのです。

なぜ不安になるの? 着床期の心と身体のゆらぎ

着床期はホルモンの影響で心と身体のバランスが乱れやすくなります。「動いたら着床しないのでは」と感じるのは自然なことなんですね。不安の背景を探ってみましょう。

ホルモンの変化と気分の揺れ

黄体ホルモンが増えると自律神経が乱れやすくなります。眠気や倦怠感(けんたいかん)、情緒の不安定さが出ることもありますが、これらは身体が妊娠の準備をしているサインなのです。穏やかに受け止めてあげましょう。

不安は「気滞」のサイン

東洋医学では、気の流れが滞る状態を気滞(きたい)と呼びます。不安や焦りが続くと、胸のつかえやお腹の張りとして現れることもあります。気が巡らないと血の流れも悪くなるため、冷えや肩こりにもつながりやすいですね。

気持ちが張りつめたときは深呼吸して、身体の内側からゆるめましょう。

情報の多さが心を疲れさせる

SNSやネット上には「安静に」「普段通りに」と正反対の意見があふれています。調べるほど不安になり、自分の感覚を信じられなくなった経験はありませんか?

妊活は小さな選択の連続でもありますが、情報を追いすぎると心が疲れてしまいます。「正解は自分の身体のなかにある」と意識してみてください。

着床期を穏やかに過ごす6つのヒント

着床期は期待と不安に揺れる時期です。心身を整えながら過ごすための具体的なヒントをまとめました。どれも少し意識すればできますので、取り入れやすいものからどうぞ。

1.呼吸と軽いストレッチで“巡り”をととのえる

深呼吸は、東洋医学でいう気の流れを整えるやさしいケアです。5回ゆっくり呼吸し、肩や首を回して緊張をゆるめましょう。「気持ちいい」と感じる程度で十分です。

2.適度な運動で身体と心をゆるめる

ウォーキングや軽いストレッチなど無理のない運動は、血の巡りを助け心のこわばりをほどきます。激しい運動は避けつつ、身体がよろこぶ小さな動きをしてみてください。

3.子宮まわりをあたたかく

東洋医学では、冷えは血の滞りにつながると考えます。身体の内側から温めましょう。

  • 白湯をゆっくり飲む
  • お腹や腰を冷やさない
  • 38〜40℃のお湯にゆっくり浸かる

4.自分に合うリラックス方法を持つ

深呼吸・ヨガ・ハーブティー・音楽・香り・日記を書く。あなたはどのように過ごせばリラックスできますか?「落ち着く」「安心する」と感じるものを見つけて、意識的に心を休める時間を作りましょう。

5.睡眠環境を整え、眠りを味方にする

質のよい睡眠は、自律神経の安定とホルモンバランスに関わる大切な要素。照明を落とし、眠りに入る準備を丁寧にしてみてください。スマホを手放す、寝具を心地よく整えるなど、気づいたことを試してくださいね。

6.ストレスを抱え込みすぎない

妊活はどうしても周りと比べてしまい、苦しいときがあるかもしれません。心が軽くなることや楽しめることに時間を使うのも立派なケアなのです。

  • 趣味を楽しむ
  • パートナーに気持ちを話す
  • 笑える動画を見る

心身を休めたり楽しんだりするのは怠惰ではありません。自分に優しくしてあげてくださいね。

心地よく過ごすためのお手伝い

妊活中はわずかな変化に一喜一憂し「あれが悪かったのでは」と自分を責めてしまうこともあるでしょう。慎重になるのは、命を大切に思う気持ちのあらわれです。

着床期の運動は軽い動きなら問題ありませんが、激しい運動は避けたほうが安心ですね。身体は思っているよりもずっと強く、しなやかです。完璧を求めすぎず、心地よく過ごす時間を意識してみてください。

漢方は、心と身体のバランスを整える味方です。赤ちゃんを迎える準備として、体調や巡りを整える目的で選ばれる漢方薬もありますよ。

漢方薬は体質や症状に合うものを選ぶ必要があります。妊活中の漢方薬の服用については薬剤師に相談してくださいね。

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