
9月に入っても暑い日が続いていますね。残暑の時期は湿気と高温が入り混じり、身体に負担がかかりやすい季節です。
汗をかいたあとに「どの飲み物を選べばいいのだろう」と迷った経験はありませんか。スポーツドリンクを手に取るか、経口補水液にすべきか、麦茶や水で十分なのか。
水分補給がうまくいかないと、むくみや体調不良につながることもあります。スポーツドリンクと経口補水液の違いを整理し、日常の飲み物とのバランスを考えてみましょう。
水分補給の基本|スポーツドリンクと経口補水液

体液に近い組成を持つ「スポーツドリンク」
スポーツドリンクは、発汗で失われる水分とナトリウム(塩分)を効率よく補うために作られています。体液に近い組成を持つため吸収が早く、運動中や運動後に飲むとすっきりとした潤いを感じやすいのが特徴。
クエン酸を加えて疲労感に配慮したもの、甘みを抑えて飲みやすくしたものなど、種類もさまざまです。
スポーツドリンクのタイプ別の違い
- クエン酸入りタイプ
クエン酸はレモンや梅干しなどに含まれる酸味成分。運動後の疲労感に配慮し、さっぱりとした飲み口が特徴。運動後のリフレッシュに適している。 - ミネラル重視タイプ
ナトリウムだけでなくカリウムやマグネシウムも含む。体調不良時や軽い熱中症対策に選ばれやすい。
※腎機能が低下している場合はカリウムやマグネシウムの過剰摂取に注意が必要 - カロリーオフタイプ
糖分を抑え、低カロリーを保つ。ダイエット中や軽い運動時に取り入れやすい。長時間の運動や高強度トレーニング等のエネルギー補給には不向き。 - 粉末タイプ
水に溶かして作るため濃さを調整できる。登山や長時間のスポーツ、災害備蓄としても非常に有用。
「スポーツドリンク」とひとくくりに考えがちですが、目的や成分の違いで選びかたが変わります。
「運動のあとにさっぱりしたい」「体調がすぐれないときの水分補給に」など、状況に合わせて飲み分けましょう。
体調不良時に強い「経口補水液」

経口補水液は、スポーツドリンクよりナトリウム濃度が高くなっています。体調を崩したときや夏バテ、病中病後などに効率よく水分を保持できるよう工夫されているんですね。
特に熱中症などの脱水対策として役立ちます。日常的な水分補給としては推奨されておらず「ここぞ」という場面で頼れる存在です。
日常生活に欠かせない「水・麦茶・お茶」との違い
- 水
もっとも基本的な水分補給。糖分や添加物がなく、身体に負担をかけにくい。 - 麦茶
ノンカフェインで子どもから高齢者まで安心して飲める。利尿作用も少ないため日常の水分補給に向く。ミネラルが含まれており、健康維持に役立つ。 - 緑茶・紅茶
カテキンやカフェインを含む。リフレッシュには向くが、カフェインの利尿作用によりトイレが近くなることも。適量を。
特別な場面ではスポーツドリンクや経口補水液、日常は水や麦茶を基本と考えると、自然にバランスがとれるでしょう。
水分補給で迷いが生まれる3つの理由

情報が多すぎて自分に合う基準がわからない
「1日に2リットル必要」「こまめに少しずつ飲むのがよい」など多くの情報が飛び交っていますね。
しかしあくまで一般的な目安であり、誰にでも当てはまる基準はありません。以下の状況や状態により必要な水分量は違うのです。
- 個々の体格
- 活動量
- 気候
- 健康状態
- 体質
- 生活習慣
身体の変化で「昔と同じ」が通用しない
若いころは喉が渇いたときに飲めば十分でも、年齢とともに水分補給に関する感覚が変化します。喉の渇きを感じにくくなり、体内の水分量も減少していくので、脱水症状のリスクが高くなるんですね。
昔と同じ感覚で水分をとると、不調を感じることがあります。
家族や状況によって必要が変わる
水分補給は年齢や体調によっても違います。子どもは甘みのある飲み物を好みやすく、高齢者は喉の渇きを感じにくい傾向があります。
健康維持のため、なにが適切なのか迷うこともあるでしょう。年齢層や状況に応じた水分補給の方法を理解するのが大切です。
状況に合わせた水分補給の工夫

運動・病中病後・日常をシーン別に分ける
運動中や運動後は、汗で失われた塩分を補うためにスポーツドリンクが向いています。病中病後や夏バテのときは、ナトリウム濃度が高い経口補水液を。日常生活では水や麦茶を基本にし、リフレッシュとして緑茶や紅茶を取り入れるとメリハリがつきますね。シーンごとに区別して考えると迷いが減ります。
美容や健康を損なわない飲みかたを意識する
むくみや体重増加が気になるときは、糖分の多い飲料を控えめにしましょう。カロリーオフタイプや白湯を取り入れるのもいいですね。
飲み物だけでなく、野菜・果物・海藻類からカリウムやマグネシウムを摂取すると、身体の調子が整いやすくなります。飲み物と食事をバランスよく組み合わせ、美容と健康を両立させましょう。
家族みんなが安心できる工夫を取り入れる
子どもには甘みが少なく飲みやすい麦茶を中心に。高齢者には一度にたくさんではなく、少量をこまめにとってもらうと安心です。家族の年齢や体質に合わせた工夫で、無理なく水分補給してください。
残暑を元気に過ごすために

残暑は「暑さ」と「湿気」が重なり、脾胃(ひい)の働きが乱れやすい時期です。塩味は腎を助けますが、摂りすぎると身体に負担をかけてしまいます。旬の野菜や豆類から自然のミネラルを取り入れ、日常の水分補給では白湯や麦茶を活用しましょう。身体の巡りを整える一助となりますよ。
水分補給の正解はひとつではなく、体調や状況に応じて選ぶのが大切なのです。必要に応じて、スポーツドリンクや経口補水液なども使い分けてくださいね。
今年はもう少し暑さと付き合わなければならないようです。水分補給に迷ったときは、お気軽にご相談ください。あなたに合う方法を一緒に見つけていきましょう。