
疲れやすくなった。むくみが気になる。しかし検査では異常なし。そんな不調が続いているなら「腎臓」に目を向けてみませんか?
わたしたちの身体は、日々の食べものや飲みものから大きく影響を受けています。今回は、加工食品に多く含まれる「リン」という成分について。リンは知らずしらずのうちに腎臓を弱らせてしまう原因になるのです。
リンと腎臓の関係、気をつけたい生活習慣について、東洋医学の視点も交えてお伝えしましょう。
身体にリンがたまると何が起きるのか

リンは身体に必要なミネラルだけど
リンは骨や歯をつくるために欠かせないミネラルのひとつです。ひとの身体には体重の約1%のリンがあり、その8割以上が骨の中にあります。
しかしリンが身体にたまりすぎると、骨や血管に深刻な影響を及ぼす可能性があるのです。現代人は、加工食品やインスタント食品から無機リンというかたちで多くのリンを摂取しています。
無機リンは腸からの吸収率が高く、腎臓への負担が大きいんですね。健康な人の腎臓でも、過剰なリンを毎日処理するのは大変。反対に有機リンは自然食品に含まれていますが、吸収率は比較的低いという特徴があります。
リンをためやすい動物は短命?

一部の研究ではリンの排出が苦手な動物は寿命が短いという傾向が指摘されています。
たとえば、ハムスターやネズミなどはリンをためこみやすく、老化が早いといわれています。反対に、ゾウやイルカのようにリンの代謝能力が高い動物は、比較的長生きすることが知られているんですね。
リンの蓄積と寿命には、深い関係があるのです。
人間はもともと腎臓が優秀なのに
人間の腎臓はリンをうまく処理できるようになっており、1日に600〜1200mg程度のリンを排出できる能力があるといわれています。
しかし、食生活によってはリンの量が必要以上に増えてしまいます。日常的に加工食品・スナック菓子・清涼飲料などをとっていませんか? せっかくの優れた機能も、生活習慣しだいで損なわれてしまうのです。
腎臓が弱ってしまう3つの背景

加工食品にふくまれるリンの摂取量が多すぎる
加工食品は、保存性や風味を保つためにリン酸塩が使われていることが多いです。リン酸塩は、食品添加物としても広く使用されているのです。
- ソーセージ
- ハム
- ベーコン
- インスタントラーメン
- カップ焼きそば
- スナック菓子
- パン
- ケーキ
- 炭酸飲料
おなじみの食品ばかりですね。リン酸塩は無機リンとして身体に取り込まれ、腎臓に直接負担をかける可能性があります。
1日に必要なリンの摂取量は成人男性で1,000mg、成人女性で800mg程度とされています。現代の食生活ではリンの摂取量が過剰になりがちであると考えたほうがよいでしょう。
「沈黙の臓器」ゆえの落とし穴

腎臓は沈黙の臓器と呼ばれており、トラブルがあっても自覚症状が出にくい臓器です。少しずつ機能が落ちていても、なかなか気づけません。慢性的にリンを摂りすぎていても、症状が出る頃にはかなり機能が低下していることもあるのです。
- なんとなく疲れやすい
- 足がむくむ
- 寝てもだるさが取れない
このような症状があるとき、腎臓は静かにSOSを出しているのかもしれません。
情報が多すぎる
健康情報があふれている現代です。食べものに気をつけたいと思っても、なにをどう選べばいいの? と迷ってしまいますよね。
リンがよくないと知っても「全部を避けるのは無理」と思ってあきらめてしまうこともあるでしょう。頑張りすぎず、少しずつ整える意識が大切です。
毎日の暮らしで腎臓をいたわる

加工食品をゼロにしなくてもいい
完璧に加工食品を避けるのは難しいですね。「毎日」から「週3回」に、「1袋」から「半分」に変えるだけでも、腎臓の負担は軽くなります。
冷凍うどんを使うときはゆでこぼしてゆで汁を捨てる、パンの回数を減らしてごはんにするなど、小さな工夫でも変化がありますよ。
原材料表示を見る習慣
食品を購入するとき、パッケージをよく見てください。リン酸・pH調整剤・乳化剤などの表示があれば、無機リンが使われている可能性があります。
とくにお子さんや高齢の方がいるご家庭では、少し意識できるとよいかもしれません。「なるべくリンが使われていないものを選ぶ」気持ちが、腎臓を守る一歩になります。
冷えやストレスにも注意

東洋医学では「腎(じん)」は生命力の源と考えられており、成長・老化・生殖・骨や脳の働きとも深く関係しています。
腎が弱ると、疲れやすくなったり、耳鳴りがしたり、物忘れが増えたり、感情的になったりすることもあります。また、腎は冷えに弱いとされているため、身体を冷やさないことも大切です。足首やお腹を温めたり、ぬるめのお風呂に入ったり、心をゆるめる時間を持つことが、腎のケアになるんですね。
心がふっと軽くなるお話

腎臓はとてもがんばり屋さんの臓器です。毎日、身体のなかのいらないものをせっせと処理してくれています。でも頑張りすぎると疲れてしまうのは、ひとも腎臓も同じなんですね。
ちょっと疲れているな、と思ったときは、温かいお茶を飲んで深呼吸してみてください。わたしの腎臓、今日もありがとう。そんな気持ちを込めるだけで、少し身体も心もゆるみます。
東洋医学では、腎は“命の源”とも言われるほど大切にされています。身体の不調は腎からのサインかもしれませんよ。
当店では東洋医学の考えに基づき、腎の働きを整える漢方薬選びのご相談を承っています。一例ですが、下記のような感じです。
- 食品添加物(リン)を摂りすぎている方へ:不要なものの排出をサポートする漢方薬
- 足腰が冷える方へ:身体をあたためる漢方薬
- ほてりや乾燥が気になる方へ:潤いを養う漢方薬
おひとりずつの体質に合わせたご提案が可能です。
「これって相談してもいいのかな?」と迷ったときこそ、お気軽にお声がけくださいね。無理なく、できることから。腎臓と仲よくつきあっていけますように。