
もうすぐバレンタインですね。健康のためにチョコレートを利用するひとが増えています。
チョコレートと薬膳? ピンとこない方も多いかもしれませんが、薬膳的に楽しむこともできるんですよ。今回は身近なチョコレートを使った、誰でも始められる薬膳生活についてお話しします。
※体質や症状によっては、チョコレートが合わない場合もあります。不安な場合は、かかりつけの医師や薬剤師にご相談ください。
意外と知られていない! チョコレートの漢方的効果

カカオが秘める3つの効能
カカオは温性で、主に心(しん:精神や感情を司るところ)に作用します。間接的には脾(ひ)・肺(はい)にも影響を与えるといわれています。
- 心への作用
気持ちを落ち着かせリラックスした状態に
精神疲労からくる不安感を和らげ疲労回復をサポート
- 脾への間接的な影響
カカオの持つ甘味が脾を補うとされる
消化を助け、だるさの改善が期待できる - 肺への間接的な影響
抗炎症作用があり、肺の健康に寄与する
温性の性質により冷えによる咳や痰の緩和に役立つ
カカオに含まれるポリフェノールの量は驚きの数値です。カカオ70%以上のダークチョコレート100gには約2200〜2500mgのポリフェノールが含まれています。
身近な食材と比べるとその差がよくわかりますよ。
【100gに含まれるポリフェノールの例】
- 赤ワイン:230mg
- コーヒー:200mg
- 緑茶:115mg
ポリフェノールには優れた抗酸化力があり、身体の内側からのサポートが期待できます。
チョコレートと体質の相性を知ろう

体質や時期によってチョコレートの活用法が異なります。カカオ含有率70%以上のものを選びましょう。
手足の冷え
1日に20g程度のチョコレートを。チョコレートに含まれるカカオポリフェノールとテオブロミンは、末梢血管を拡張し手足の血流をサポートするといわれています。
ほてりやすい
1日に10g程度を目安に。チョコレートに含まれるカフェインやテオブロミンは体温を上昇させる作用があるため、夕方以降〜就寝前の摂取は避けましょう。
生理前
テオブロミンにはセロトニンを増加させる作用があり、リラックス効果が期待できます。カカオには鉄分も多く含まれているため、生理中の貧血予防に役立ちます。
※1日の適量を守りましょう。健康目的で毎日摂取するなら1日に10〜20gが目安。だいたい10gで3ブロック分、20gで6ブロック分、と覚えるとわかりやすいですよ。食後に食べると糖分の吸収を抑えられます。
漢方的な組み合わせで効果アップ!

チョコレートの効果を高める食材との組み合わせをご紹介します。
チョコレート×クコの実×ナツメ
クコの実2〜3粒とナツメ1個を刻んでホットチョコレートに加えると、身体が温まりやすくなります。
クコの実はビタミン類・マグネシウム・鉄分などが含まれる栄養価の高い食品。目の疲れを和らげる効果も期待できます。
ナツメは気血を補う働きがあるため、デスクワークで疲れた日におすすめです。
チョコレート×シナモン×ミルク
温めたミルクでチョコレートを溶かし、シナモンパウダーをふりかけます。シナモンにも抗酸化作用と血行促進の働きがあるので、チョコレートとの相乗効果が期待できます。
生姜を加えるとチョコレートのアクセントとなり、違う味わいも楽しめますよ。
簡単3ステップで始める薬膳生活

Step1:生活リズムを見直す
薬膳生活の第一歩のために、食事の時間帯を整えましょう。「薬膳には高価な漢方材料が必要」と思っていませんか? 実は身近な食材の多くに薬膳効果があるんですよ。
- 玉ねぎ
気の巡りを整え体内の余分な水分を排出 - にんじん
潤いを補い目の健康にも役立つ - にんにく
免疫力を高め抗菌作用を持つ - ネギ
発汗作用があり寒気のする風邪に効果的 - 大根
身体を温める効果がある - 黒ゴマ
髪や肌の健康によく血液がサラサラに - 黒こしょう
血行を促進し胃腸を整える
生姜・シナモン・黒こしょうは温性で、身体を温める代表的なスパイス。みかんの皮やゆずの皮も、気の巡りを整え血行促進に役立ちます。まずは普段使っている食材の特徴を探ってみてくださいね。
朝の7時〜9時は胃腸の働きが活発な時間帯です。この時間帯を有効活用するためには、朝6時頃に起床するのが理想的。起床後に身支度や軽い運動をしたあと、温かい朝食を摂るのが望ましいですね。
夜9時以降の飲食は控えめにし、冷たい食べ物は避けましょう。
Step2:季節の変化を意識する

「漢方の専門用語がたくさんあって難しそう」という声をよく聞きます。
確かに漢方理論は奥が深いのですが、薬膳を始めるのに専門的な知識は必要ありません。まずは自分の身体と向き合ってみましょう。
- 手足が冷たく感じる
「冷え」タイプ。温性の食材を中心に選ぶ - 顔が火照りやすく汗をかきやすい
「熱」のタイプ。涼性の食材がおすすめ - のどが乾きやすい
「乾燥」タイプ。潤いを与える食材を取り入れる
身体のタイプを知ると、自分に合う食材選びができるようになりますよ。
チョコレートは身体を温める働きがあるので、寒い時期に取り入れたい食材です。特に冬は温かい飲み物と一緒に楽しむのがおすすめ。
一方で、暑い季節は涼しい朝や夕方に食べるなど、気温の変化に合わせて調整してください。
季節の変わり目に体調を崩しやすい方もいらっしゃるでしょう。高カカオチョコレート(70%以上)と緑茶も相性がよい組み合わせです。緑茶に含まれるカテキンとカカオポリフェノールの相乗効果で、抗酸化作用が期待できます。
ただし緑茶にはカフェインが含まれているため、摂取量や時間帯に注意しましょう。
Step3:食材の相性を学ぶ

「薬膳は手間のかかる特別な料理」というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。食材をじっくり煮込む本格的な薬膳料理もありますが、それが薬膳のすべてではありません。
- ホットチョコレート×生姜パウダー
身体が温まる薬膳ドリンク - 味噌汁×乾燥わかめ
潤いを補う薬膳 - カットりんご×シナモンパウダー
温め効果のあるデザート
これらも立派な薬膳なんですよ。あなたも普段から自然に薬膳を取り入れているかもしれませんね。
薬膳の基本は「調和」。ひとつの食材に偏らず、複数の食材をバランスよく組み合わせましょう。高カカオチョコレートと相性のよいドライフルーツは、それぞれ特徴が異なります。
- レーズン
甘味と酸味のバランスが良く相性抜群。食物繊維と鉄分が豊富で栄養価が高い - クランベリー
抗酸化作用のあるポリフェノールを含んでおり、高カカオチョコレートの健康効果を補完 - いちじく
食物繊維が豊富で高カカオチョコレートの便通改善効果を強化
ドライフルーツを組み合わせると、より効果的な薬膳になりますね。
チョコレートを健康管理に取り入れてみませんか?

バレンタインシーズンは、チョコレートを薬膳的に楽しむ絶好の機会です。体調管理の味方として楽しんでみてくださいね。健康のためチョコレートを取り入れる場合に注意する点は以下です。
- カカオ含有率70%以上のチョコレートを選ぶ
- 1日の摂取目安は25g〜30g(約100〜140kcal)
- 1日5〜6回に分けて摂取する
- 毎日摂取が重要
- 過剰摂取に注意
カカオポリフェノールの血中濃度は24時間後にはほとんどなくなるため、毎日継続することをおすすめします。ただ糖質や脂質も含まれているので、食べ過ぎないように気をつけてください。
体質によりおすすめの摂取量が違う場合もあります。よく噛んでゆっくり食べると、少量でも満足感が得られますよ。
総合的な健康管理として、高カカオチョコレートに偏らず、バランスの取れた食生活を心がけましょう。
また、チョコレートは漢方薬の服用を助ける手段として有効ですが、同時摂取による効果の変化については科学的根拠がありません。
漢方薬との併用については医師や薬剤師の指示に従いましょう。気になる症状がある場合は、漢方薬と組み合わせる前に必ず薬剤師にご相談くださいね。