年末は慌ただしく、気持ちも身体も落ち着かない状態になりやすいですね。更年期はホルモンバランスの変化が起きやすく、自律神経にもゆらぎが出ると考えられています。さまざまな身体的・精神的な不調を引き起こす要因となるのです。
「眠りが浅い」「すぐ疲れる」「気持ちがゆれやすい」と感じたなら、身体が「すこし立ち止まってね」と伝えているのかもしれません。
年末に不調が出やすい理由と、簡単にできるケアをご紹介します。
更年期と自律神経のつながりは?

気持ちがゆれるのか、身体がゆれるのか。どちらが先かわからず戸惑うことがありませんか。更年期と自律神経のつながりを整理すると、自分の状態を理解しやすくなるかもしれません。
ホルモンの波が“心のゆらぎ”として表れる理由
女性ホルモンには自律神経の働きを支える役割があると考えられています。40代後半から50代になるとホルモンの分泌が変化し、体温調節・睡眠・情緒の安定に影響することがあります。更年期の症状は多岐にわたりますが、一般的にみられる症状は以下です。
〈身体的症状〉
- ホットフラッシュ
- 疲れやすい
- 不眠
- 頭痛
- 動悸・息切れ
〈精神的症状〉
- 情緒不安定
- 抑うつ気分
- 集中力の低下
小さなことに涙が出たりイライラしたりする背景
気持ちのゆれは、心を守るための防衛反応と考えられています。あなたが弱くなっているからではありません。「少し休む必要がある」という、身体からの重要なメッセージなのです。
また自律神経の緊張が続くと、頭で気をつけていても感情が追いつかないことがあります。
冬の寒さと乾燥が巡りの停滞を招きやすい
東洋医学では、寒さによって血や気の巡りが滞りやすくなると考えられています。身体が冷えると自律神経の負担が高まり、肩こり・頭痛・睡眠の乱れが現れやすいのです。更年期と冬の組み合わせは、不調を感じやすいタイミングといえるでしょう。
年末に不調が出やすいのはなぜ?

街全体が慌ただしくなる年の瀬。予定が増えひとと会う機会が多くなり、知らずしらずのうちに緊張が積み重なっているのかもしれません。背景を理解しておくと、自分の状態を客観的に見られるようになります。
ひとに会うほど疲れてしまう
忘年会やつきあいが増える12月は、ひとと関わる楽しさがある一方で、情報処理や感情調整が増えるため自律神経の負担が高まります。帰宅した瞬間ぐったりしてしまうのは、脳が休息を求めているサインかもしれません。
睡眠が浅くなり疲れがたまりやすい
夜更かしやイベントで生活リズムが乱れると、自律神経が整いにくくなります。布団に入っても気持ちがざわついて眠りにくいのは、神経が張り詰めているからなんですね。睡眠不足が続くと、気持ちの安定や集中力にも影響が出てしまいます。
食事がかたより巡りのバランスが乱れやすい
ごちそうや外食が増える時期は、食事が偏りがちですね。油分や糖質の多い食事が続くと消化の働きが弱って巡りが滞り、胃の重たさやむくみが現れやすくなります。
自律神経は消化にも深く関わっています。食事が偏ると消化器ががんばりすぎる状態になり、調整のために自律神経も働き続けるんですね。その結果、身体の重たさや疲れを感じることがあるのです。
穏やかに過ごすための“整える習慣”

日常生活の小さな調整で自律神経は整いやすくなります。ゆったり落ち着ける時間をもち、心身を緩めましょう。
深い呼吸やゆるいストレッチで頭と心をほぐす
肩に力が入っていると感じたら、ゆっくり息を吐いてみましょう。1日に何度か30秒深呼吸するだけでも、緊張をゆるめるスイッチになります。首を回す、胸を開くなど簡単なストレッチも取り入れてみてください。
温かい飲みものや入浴で巡りにやさしい刺激を
温かい湯気や香りには、気持ちを落ち着かせる作用があります。お茶やスープを含んだ瞬間に「ほっ」と感じるのは、身体が安心したサイン。38〜40℃程度の湯に浸かり、ゆっくり温まるのも巡りのサポートにつながります。
予定表に“白紙の時間”を入れる
予定をびっしり埋めるより、空白の時間をあえて残しましょう。10分の散歩や、スマホを閉じて湯気を眺めるだけでも、神経は休まります。“何もしない時間”を自分に許してあげると、自律神経の回復に役立ちますよ。
忙しいときこそマメに緩めましょう

年末はうれしい予定や楽しい時間が続く一方で、気づかないうちに心身の緊張が積み重なっています。「楽しかったのに、家に帰るとどっと疲れる」のは、不思議ではありません。気持ちは充実していても、身体のほうでは調整のエネルギーが追いつかないのかもしれませんね。
忙しいときこそ、少しだけ“ゆるめる時間”をつくってみてください。湯気を眺めながらお茶を飲む、行き帰りの歩幅をゆっくりにしてみる、予定をひとつ先送りにする。小さな行動でも、自律神経が休まりますよ。
更年期のゆらぎが気になるなら、漢方薬を利用するのもひとつの方法です。
- 加味逍遙散(かみしょうようさん):気持ちの高ぶりや緊張が抜けにくい方に
- 温経湯(うんけいとう):冷えや疲れが気になる方に
- 桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう):眠りの浅さや不安を感じやすい方に
漢方薬との相性は症状や体質によって異なりますので、気になる方はお気軽にご相談ください。
季節の慌ただしさに飲み込まれず、あなたの心と身体が息をつける時間を持ちましょう。無理せず、あなたのペースで年末を過ごしてくださいね。




