当店では「夜中のトイレ」のご相談が増えています。何度も起きなければならない状況は睡眠の質を下げ、朝スッキリ起きられませんね。

夜間頻尿は年齢を重ねるにつれ増える傾向がありますが、年のせいと片付ける前に見直せることがあるかもしれません。

夜間頻尿は多くのひとが経験しますが、背景はそれぞれ違います。身体のなかで何が起きているのでしょうか。対策とともにお伝えします。

夜に身体のリズムが崩れているサイン

夜間頻尿は単に「トイレが近い」という現象ではありません。身体のリズムや水分の巡り、睡眠の質が関係してあらわれる状態です。

夜中に排尿のため起きるのが「夜間頻尿」

「夜間に排尿のため1回以上起きなければならない状態」を夜間頻尿と呼びます。ただし、1回程度で日中の生活に支障がない場合は、心配しすぎなくてよいでしょう。2回以上になると眠った気がせず、翌日の体調に影響しやすくなります。

睡眠と排尿はつながっている

睡眠中は、ホルモンの働きにより身体が尿の量を抑えています。睡眠中は水分摂取ができないので、脱水状態を防ぐため、尿量を抑える働きをもつ抗利尿ホルモンが分泌されるのです。

しかし、眠りが浅いとホルモンの働きがうまくいきません。わずかな膀胱の刺激でも目が覚めやすくなり、いちど目が覚めると尿意を強く意識してトイレに行きたくなるのです。

目が覚めたついでに行く習慣が、夜間頻尿の原因となっているケースは実際にあります。

東洋医学でみる夜間頻尿

腎(じん)は水分代謝と深く関わっています。腎の力が弱まると、尿をためたり排出を整える力が低下し、夜間頻尿が生じやすくなります。

腎の働きが衰えているのは腎虚(じんきょ)という状態。腎虚が進むと尿のコントロールが難しくなるのです。

特に身体を温める力(腎陽)が不足する腎陽虚(じんようきょ)の状態になると、下半身の冷え・夜間の多尿・頻尿などの症状が現れます。

夜中に起きてしまうひとに共通するもの

夜間頻尿の背景にはいくつかのパターンがあります。ひとつではなく、いくつかが重なっていることも珍しくありません。

水分摂取が夜に偏っている

夕方以降の水分摂取が多いパターン。カフェインやアルコールは強い利尿作用があるので、摂取量やタイミングにより夜間頻尿になりやすいといえます。

健康のために水分を増やした結果、夜に影響が出ている場合もあります。

身体が冷えている

寒さで皮膚の血管が急激に収縮すると、血液の流れが変化し、尿が増えやすくなることがあります。寒さでトイレが近くなる経験をもつ方もいるでしょう。

また、身体が冷えると巡りが滞りやすくなり、水分代謝の調整能力が落ちてしまいます。

重力の関係で下半身はむくみやすいのですが、横になると下半身にたまっていた水分が血管内に戻ります。腎臓への血流が増えると尿の生成が進み、夜間頻尿につながりやすいのです。

睡眠の質やストレスの影響

心配ごとがあると身体が休まりません。寝つきが悪かったり、途中で何度も目が覚めるのは、ストレスが原因になっていることもあります。

「また眠れないかも」という意識が、さらに眠りを遠ざける悪循環になっているかもしれません。

朝までぐっすり眠るために

「当たり前」「仕方ない」と思い込んでしまうと、見直す機会を逃してしまいます。しっかり睡眠をとるために生活を見直し、身体のリズムを整えていきましょう。

就寝前2〜3時間の水分摂取を意識する

夕食後の水分量を意識してみましょう。就寝直前の飲水を少し控えるだけでも変化を感じる場合があります。体内に蓄積できる水分量には限りがあるため、寝る直前に水分を多く摂ると、余分な水分が尿として生成されるのです。

アルコールやカフェインは利尿作用があるので、夜は控えめにしたいところです。水分は「日中にしっかり、夜は控えめ」のリズムを繰り返してみてください。

塩分・運動・むくみ対策で夜の負担を軽くする

塩分が多い食事は、体内に水分をため込みやすくなります。味付けを少しだけ薄くするなど、簡単にできることから始めてみましょう。夕方に15〜20分のウォーキングを取り入れると巡りが整いやすくなります。

寝る3〜4時間前に、15分程度横になる方法もあります。足先を15cmくらい高くしてください。尿を作るホルモンが分泌されるので、就寝前に排尿できます。その後の水分摂取に注意しましょう。

※排尿の記録をつけると自分のリズムがわかります。よい方向に変化があると、モチベーションアップにもつながりますね。

膀胱トレーニングで排尿間隔を整える

頻尿状態では少しの量でも反応しやすくなっているので、トレーニングするのもひとつの方法です。

膀胱は本来、コップ1杯程度の尿をためられます。膀胱は風船のように膨らむので、練習していくと身体が「もっとためられる」と覚えていくのです。

尿意を感じてもすぐトイレに行かず、5〜10分待ってみましょう。慣れてきたら15分、30分と少しずつ間隔を伸ばしてみてください。

夜中に目が覚めたときも、軽い尿意なら様子をみる選択もありです。再び眠れそうなら眠ってしまいましょう。

また「念のため」頻繁にトイレに行く習慣は、尿が少量たまっただけで尿意を感じるようになります。状況にもよるでしょうが、意識してみましょう。

(注意点)

  • 無理な我慢は避ける、特に女性は膀胱炎のリスクあり
  • 強い尿意で眠れない場合はトイレを優先
  • 疾患が隠れている場合もあるため、必要に応じて医療機関へ

夜間頻尿は「当たり前」と決めつけなくていい

夜間頻尿は、加齢による生理的変化が基盤になっていることが多いです。膀胱に尿をためにくくなったり、抗利尿ホルモンの分泌が低下したりと、避けられない面もあるんですね。ただ「年齢だから仕方ない」とあきらめるのは早いかもしれません。

水分摂取のタイミングを工夫する、身体の巡りを意識するなど、日常生活を見直してください。

膀胱トレーニングも状態に合わせて取り入れられる方法のひとつです。「夜中に目が覚めても軽い尿意ならまた眠りに入っていける」と話すお客さまもいます。強い尿意や痛みがあるときは無理しないでくださいね。

生活習慣の見直しに加えて、体質に合わせた漢方薬を提案することもあります。

  • 八味地黄丸(はちみじおうがん)
  • 牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
  • 猪苓湯(ちょれいとう)
  • 小建中湯(しょうけんちゅうとう)

同じ夜間頻尿でも、冷え・虚弱体質・炎症・ストレスなど背景が違います。漢方薬を取り入れる際は、薬剤師にご相談くださいね。

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